担当者交代で「疎遠」になるのは、経営者も金融機関も望んでいない
「せっかく信頼関係を築いたのに、異動でゼロになった」と感じる経営者は非常に多いものです。しかし、実は金融機関側もこの状況を「もったいない」「残念だ」であり避けたいと考えています。
金融機関にとって、取引先のビジネスモデルや経営者の人柄を深く理解するには時間がかかります。担当者が変わるたびに情報の引き継ぎ漏れが発生し、優良な融資機会を逃すことは、金融機関の営業成績にとってもマイナスです。
「金融機関は冷たい」と感じるかもしれませんが、彼らも組織のルール(人事異動)に縛られているだけ。まずは「お互いに継続的な関係を望んでいる」という共通認識を持つことが、対策の第一歩となります。
なぜ人事異動はあるのか?そのメリットとデメリット
金融機関が数年おきに担当者を変えるのには、明確な理由があります。
人事異動が行われる主な理由: 最大の理由は「癒着の防止(不正防止)」です。特定の行職員が長く一社を担当することで、不適切な融資や不祥事が起きるリスクを回避するためです。また、行職員に多様な業種を経験させ、スキルアップを図る目的もあります。
人事異動のメリット
新しい担当者が来ることで、「新しい視点での提案」が期待できます。前任者が気づかなかった課題や、新しい融資制度の活用法など、風通しが良くなる側面があります。
人事異動のデメリット
決算書の数字だけでは見えない「経営者の熱意」や「現場の強み」といった定性的な情報がリセットされやすく、信頼関係の再構築に時間と労力がかかります。また、これまでの担当者は優秀な方だったのに、そうでもないまたは経験の浅い行職員が担当になることも。
「担当者個人」ではなく「支店全体」との関係を作る
疎遠になる最大の原因は、担当者一人だけと深く付き合ってしまうことです。担当者が異動すれば、社内の「代弁者」がいなくなってしまいます。
これを防ぐためには、担当者の上司(融資課長や副支店長)、そして支店長との接点を意識的に作る必要があります。
面談の機会を作る
重要な報告の際や、決算説明の時には「ぜひ課長(または支店長)にもご挨拶したい」とお願いしてみてください。支店長は無理でも課長なら同席してくれる可能性は高いです。ただ、面談の日時は相手の都合に合わせてあげてください。
相性のリスクを分散する
担当者との相性が悪くても、その上司と信頼関係があれば、融資の審査が不当に止まるリスクを減らせます。 上層部が自社のことを知っていれば、担当者が誰になっても「あの会社はしっかりしている」という支店共通の認識が維持されます。
複数の金融機関と付き合い、依存リスクを回避する
「メインバンク一本」という付き合い方は、担当者の交代という不確実なイベントに対して非常に脆弱です。もし新しい担当者との相性が最悪だった場合、資金調達のルートが完全に閉ざされてしまうからです。
比較と競争
2〜3行と並行して取引を行うことで、各行に「他行に取られたくない」という心理的な競争が生まれます。
リスクヘッジ
人事異動の影響で一方の金融機関との関係が冷え込んでも、もう一方の金融機関がカバーしてくれる体制を整えておくことが、経営の安定につながります。
「複数の金融機関と付き合うとメインバンクに嫌われるのでは?」と心配されるかもしれませんが、今の時代、金融機関側も自行庫だけで対応するよりも、リスクを分散する傾向にあります。
金融機関から「接触したくなる会社」になろう
最高の対策は、こちらから追いかけるのではなく、金融機関が「ぜひ会わせてください」と頭を下げてくる状態を作ることです。
そのためには、金融機関が喉から手が出るほど欲しい「信頼できるデータ」を提供し続ける必要があります。
決算書を磨く
まずはこれでしょう。格付けにおける決算書の割合は大きいですから、経営努力の結果を数字で示し、自己資本比率や収益性を高めることは基本です。
「経営計画書」と「資金繰り表」の提出
多くの経営者は「融資が必要な時」だけ書類を作ります。しかし、平時から「これからの計画」と「お金の動き(資金繰り)」を透明化して提出し続ける会社に対して、金融機関は絶大な信頼を置きます。
計画書があれば、新しい担当者が来ても「この会社はこういうビジョンで動いているのか」と一目で理解できます。担当者の能力に関わらず、自社の情報を正確に伝える「仕組み」を自ら構築することが、疎遠になるリスクを根絶する唯一の方法です。
まとめ
経営においては、1つに依存することは大きなリスクになります。金融機関との付き合いについてもそうです。担当者だけと付き合うのではなく上司とも付き合う、他の金融機関とも付き合うことが必要です。
当社では金融機関との上手なお付き合いをサポートしています。もし、どうしたらいいのかわからない、なかなかうまく行かないとお悩みでしたら、まずは「無料相談」をご利用ください。
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