借り入れた資金の使われ方

銀行融資

経営が悪化し資金繰りに困窮している企業なら、「とにかくいくらでもいいから融資を受けたい」という考えになってしまうでしょうけど、そうでない普通の企業なら無計画に資金調達することはないでしょう。

「うちの業界も今後はやや落ち着きそうだ。売上も少し低迷しそうだから、それを乗り切るために資金に余裕を持たせよう」「これから売上が増加し運転資金が必要だ」「増産の見込みが立ったので機械を追加しようか」、このように今後の経営が前向きに予想されるなら、積極的な資金調達に動くでしょうし、逆なら資金繰り安定のために資金調達をするべきか検討するでしょう。

そんな借入金残高の推移を金融機関はチェックします。

一般的には、貸借対照表の借入金残高が減少しているなら安全、増加しているならやや危険と考えます。借入金が増加しているにしても、なぜなのかその理由を知りたいのです。

例えば、
借入金残高が増加しているけども、現預金残高もそれとほぼ同水準に増加しているとしましょう。その理由として多くは資金繰りの安定を図るためでしょうから、いざとなれば預金で返済が可能ですので、それほど心配する必要はないと考えます。

売掛債権(売掛金や受取手形など)や棚卸資産が増加しているとしたら、商売の規模が拡大しているのですから、それもまずは問題がありません。ただ、それらの中に不良資産がないことが前提です。回収不能となってしまった売掛金、販売が不可能となってしまった商品など、これらは現金回収が不可能なものですから返済ができません。したがって、それらが増加していたら資産内容に問題がないかが気になるでしょう。

あるいは機械、車両などの設備に流れていたら、それも製造や営業活動に貢献する資産ですから問題はありません。

では、問題になるケースとしては何があるでしょうか。

それは事業には貢献しない資産に流れているケースです。よく知られたところでは貸付金ですね。あるいは仮払金とか。

経営者や取引先などへの貸付金は回収できないケースが非常に多いのですが、営業活動に無関係な資産が増えても、商品や材料を仕入れて製造販売し得た利益で返済ができるわけではないので、間違いなく今後の返済がきつくなって資金繰りに影響を与えます。

もし資産科目が増加していない場合には、赤字補填に使われていると考えられます。

企業の成長に合わせて借入金残高も増加しているのならいいでしょう。しかし、そうでないのに増加しているとしたら金融機関はどのような資金使途に流れているのか厳しくチェックするのです。

したがって、少なくとも貸付金などの事業以外に資金が流れないようにだけはしてください。