リスケは経営者が動かないと

中小企業経営

リスケ(リスケジュール)という言葉は、昔は知らない人も多かったですけど、今は経営者でなくても知られるようになりました。

返済等の条件を見直してもらうこのリスケ(条件変更ともいいます)は、当然ですけど経営者自身が金融機関に相談しなければなりません。

稀に、危なくなってきたら金融機関から提案してくれると思っている経営者さんがいますけど、いちいち「リスケしてあげましょうか」「おたく大変そうだから返済額を減らしませんか」なんて声かけしてくれません。条件変更の稟議書を作成して支店長や本部、あるいは信用保証協会の承認をもらわなければなりません。面倒だからできれば返済を続けて欲しいというのが本音です。

だから、経営者自身が自社の今後を考えてみて、「うちの会社、このままいくと資金がショートしそうだ」と感じたらリスケを考えてみましょう。金融機関にいきなり相談するのが不安だということなら、まずコンサルタント等の専門家に相談してもいいでしょう。

専門家に相談した結果、やはりリスケをした方がいいとなれば金融機関に申し込みましょう。

「厳しいことを言われるのかな?」と不安かもしれませんが、通常そんなことはありません。「通常」と書いたのは金融機関によって違うし行職員もいろいろいるからです。北関東の偉そうな態度を取ることが多いA銀行のように、「リスケしたいなんて、あなたの経営者としての能力に問題があるからだ。責任を取って経営者を辞めなさい」なんて言ってくることもありますが、通常はそんなことありません。

中小企業金融円滑化法が終了してからも、金融機関は債務者からの返済条件緩和の依頼には丁寧に対応するよう求められていますし、金融機関も基本的にはそのように対応してきました。

でも担当者としては、「では今後どのように業績が回復して、返済額も正常に戻るのだろう」と考えてしまいます。上司の承認をもらうにも今後の計画書(経営改善計画書)を提出してもらい、審査の資料としたいのです。

 

しかし、経営改善計画書なんて中小企業単独で作成することは困難な場合も多いでしょう。その場合、外部の専門家の力を借りて作成すればいいですし、それを支援する制度「経営改善計画策定支援事業」もあります。また、金融庁は「経営改善計画が単独で作成することが困難な中小企業に対しては、金融機関が経営者へのヒアリング、経営資料などを基に作成したものでも可能」としています。だから、経営改善計画書を提出しなくてもリスケに応じてもらえることもあります。

返済計画に基づいて今後の返済は実行されますが、すぐに計画通りにいかない内容ですと、金融機関からの信用も失いかねません。したがって、保守的な数字で作成するようにしましょう。金融機関からの支援を受けたいからと、強気な計画内容を作成するのはおすすめしません。

経営改善計画書の作成は、小規模企業にはやや手間になります。しかし、やはり自分たちで計画書を作成するほうが今後の経営にはメリットがあります。

なぜなら、他人にすべて作ってもらった計画書なんて中身がないからです。自分たちで経営が悪化した原因を見つけ、粉飾決算をしていたら本当の数字を見つけ、そこから今後どうしていけばいいのかを考えるから意味があります。それに計画に沿った経営をしていくでしょう。他人にすべて作ってもらっていたら、今まで通りの経営しかしないのです。

それに原則はこれまで述べたように、金融機関は企業支援の姿勢ですけど、やはりいつまで支援しても経営改善しない企業も多いものです。実際、リーマンショックや東日本大震災で経営が悪化したのを機にリスケをスタートさせたが、いつまでも再生しない企業はあります。そういう企業には金融機関の対応も、徐々に厳しくなっていく方向に向かうと考えた方がいいでしょう。だから経営者を中心に専門家の力を借りながら、今後どのように再生させていくのかを自分たちで作っていく必要があるのです。早いうちの方が再生する可能性は高いです。だから、「うちの会社、このままだとマズいのでは?」と思ったらすぐに行動することが重要です。

「うちの会社、経営悪化が続いている。リスケをした方がいいのだろうか」とお悩みでしたら、今後の事を一緒に考えてみませんか。