信用保証協会は中小企業の信用力を補完する公的機関です。各都道府県に1つは存在しますが、通常は取引金融機関を通して保証を申し込むため、一度も行ったことがない経営者も多いでしょう。
中小企業、特に小規模企業や個人事業主は信用力の面でやや不安定なところがあるため、金融機関からの資金調達においては、信用保証協会の保証を条件とされることが多いと思います。
信用力のある企業であっても取引を開始したばかりであれば、金融機関は保証を要求することが多く、そこから信用力を積み上げれば、金融機関はプロパー融資でも応じる可能性が出てきます。
中小企業からの保証依頼に対して、当然、信用保証協会の審査があります。
信用保証協会の審査
信用保証協会は、一般的に金融機関を通して中小企業からの保証依頼を受け、保証審査を行います。そして保証が出れば信用力が担保され、金融機関は融資を実行することができます。
金融機関は融資を行い、信用保証協会はその融資の保証をするわけですが、審査の内容は基本的に金融機関と同じです。資金使途と返済能力を中心に、他にも融資の条件、担保の有無、今後の業績見通し等を審査します。
なぜなら、もし企業が返済不能となった場合、信用保証協会が企業に代わって金融機関へ返済しなければなりませんから、融資する金融機関とほとんど変わらないのです。
保証するにあたって保証料を徴収していますが、債務者企業に代わって金融機関へ返済するケースが増えるのは避けたいのです。
金融機関よりは甘い審査
金融機関のプロパー融資における審査と比べれば、甘いと考えて間違いありません。なぜなら、中小企業が金融機関から融資を受けやすくするために保証を出す公的機関だからです。金融機関以上に審査基準を厳しくすれば、本来の中小企業の資金繰り支援ができなくなります。
信用保証協会は、金融機関では審査に乗りにくい担保評価が十分でない、創業したばかり、経営内容がおもわしくない企業について、経営者の資質、販売・技術力、事業の将来性等を十分加味して審査を行います。
金融機関以上に事業内容や将来性を積極的に評価すると考えればいいと思います。決算書だけを見れば内容が悪く融資が難しそうでも、今後の事業継続可能性が高いと判断されれば、保証が出る可能性はあるのです。
また、大規模な自然災害や世界的経済危機等(例、東日本大震災、新型コロナウイルス感染症、リーマン・ショック)が発生した場合、経営危機に陥った中小企業を迅速に支援するため、高いリスクを受け入れて保証を出すこともあります。
しかし、常にそのような姿勢であるとは限りません。金融機関でもあることですが、審査がやたらと優しい時があるかと思えば、非常に厳しくなることもあります。
自然災害や経済危機等が発生からしばらくして落ち着いてくると、今度は代位弁済(信用保証協会が債務者企業の代わりに返済すること)の増加を懸念して、審査は通常の状態に戻るか、あるいはそれ以上に保守的になることもあります。
平時においても、保証の謝絶や希望保証額を減額されることはいくらでもあります。したがって、「信用保証協会ならいつでも保証してくれるだろう」と油断はしない方がいいのです。
信用関係を作っていきましょう
このように融資をしてくれるのは金融機関ですが、保証をしてくれる信用保証協会との関係も極めて重要です。金融機関はいくらでもありますから一つぐらいケンカして関係が悪化してもいいですけど、信用保証協会は通常1つしかありませんから、例えば粉飾決算なんかに手を出してしまい、後で発覚するようなことがあれば信用を大きく失いますから絶対にやめましょう。
基本的には金融機関を通じて保証を依頼しますが、経営者が事前相談や決算書の報告等を目的に、信用保証協会を訪問してもかまいません。
特に最近業績が悪化しつつある、あるいはそろそろ資金調達が難しくなってきた、そんな経営内容であれば資料を作成し、信用保証協会の職員に説明するのは有効です。
経営者が金融機関担当者へ定期的に報告をしていたとしても、それがすべて信用保証協会に伝わっているとは限りません。
決算報告であれば次のようなことを報告しましょう。
- 決算内容の説明とその結果に至った理由
- 今後の業績や資金繰り見通し
- 現時点での経営課題とその改善策
- 販路開拓が成功した等のアピールできる内容
A4で1枚程度でもいいですから作成するといいです。