EBITDA有利子負債倍率とは、有利子負債がキャッシュフローの何倍あるのかを示す財務指標です。ローカルベンチマークでも採用されており、キャッシュを稼ぐ力に対して借入金がどれだけあるのかを示す大切な指標です。
EBITDA有利子負債倍率の計算式
ローカルベンチマークで使われている計算式は次の通りです。
EBITDA有利子負債倍率(倍)=(借入金-現預金)/(営業利益+減価償却費)
他にも
=経常利益+支払利息+減価償却費
=税引前利益+特別損失-特別利益+支払利息+減価償却費
等ありますが、経常的な利益と支払利息・減価償却費を合計したものと考えればいいでしょう。ローカルベンチマークにおいては、より単純に営業利益が使われています。
これに似た財務指標として債務償還年数があります。
債務償還年数(年)=有利子負債-正常運転資金/キャッシュフロー
有利子負債とは返済義務のある借入金をいいます。
正常運転資金は次の計算式で計算できます。
正常運転資金=受取手形+売掛金+棚卸資産-支払手形-買掛金
また、分子の有利子負債から正常運転資金だけでなく現預金を引く計算式もあります。
そしてキャッシュフローは、経常利益×(1-税率)+減価償却費
ただし、EBITDA有利子負債倍率、債務償還年数ともに計算式が金融機関や財務分析ツールによって異なります。
EBITDA有利子負債倍率と債務償還年数は、借入金とキャッシュフローのバランスを見る目的は一緒です。
債務償還年数で営業利益を用いる場合もあるでしょうが、どちらかといえば経常利益や(特別利益や損失がなければ)税引後利益を使うことが一般的です。
EBITDA有利子負債倍率では、現預金は借入金との相殺が可能ですから、差し引いた残りを実質の借入金と見ることができます。そして、営業利益を採用したのは本業の利益から生み出されるキャッシュフローで、実質借入金を何年で返せるかを見るのが目的です。
10倍までを目標に
債務償還年数は、かつては5年が基準だったものが10年に、さらに中小企業は運用上20年にまで緩和されました。
しかし、借入金が多い企業では利息支払いが大きすぎて経常利益がプラスにならず、プラスになっても少額であることも多く、債務償還年数がどうしても長期化することになります。
本来は金融機関からの借入金を使って経営を行うわけですから支払利息を無視せず、営業利益よりも経常利益や税引後利益を用いるべきでしょうが、それでは債務償還年数が改善できない企業が多いでしょう。
というわけでEBITDA有利子負債倍率では、本業での稼ぐ力に焦点を当ててその問題を改善しようということなのです。10倍が目標となるでしょう。
営業利益は本業での利益をあらわしていますから、ここがマイナスになるわけにはいきません。もちろん赤字決算になるときだってありますが、少なくとも連続赤字は避けなければなりません。設備投資を行ったばかりで多額の減価償却費が発生することで営業赤字になることもあるでしょうが、(営業利益+減価償却費)はプラスになることが求められます。