資金繰りが徐々に苦しくなっていき、借入金、税金や社会保険料、経費等の返済や支払いが難しくなってきた場合、リスケジュールを選択することは、資金繰り改善の有効な手段の一つです。
しかし、経営者の多くがリスケジュールには慎重です。
その理由は、「今後、新たな融資ができなくなるから」でしょう。
次の要件が揃えばリスケジュールを検討
ただ、次の3つが揃えばリスケジュールを検討したほうがいいと思います。
新規の融資が出る可能性がゼロ、あるいは極めて低い
赤字が続いており返済能力もない、借入過多、さらに大幅な債務超過の状態であれば、金融機関からの融資は非常に難しいでしょう。担当者からは『しばらく難しい』等と言われるかもしれません。
・手持資金が月商にも満たない
・融資を断られてしまった(しばらくは出ないとはっきり言われた)
・出たとしても満足な融資額ではない
このような経営状況にあるのなら、リスケジュールで毎月の返済分だけでも資金繰りを楽にして、経営改善に集中すべきでしょう。
金融機関には申し訳ないけど、借入金の返済は給料、仕入、経費、税金などよりも後回しです。つまり非常時は一番後回しです。
親族や高利な金融業者に頼ろうとしている
金融機関からの資金調達ができなかったからと、親族や知人、ノンバンク、ファクタリング等から調達しようと考える経営者はいまだにいらっしゃいます。
前向きな資金需要で売上先がしっかりしている、かつ数か月後には返済できるならまだいいでしょう。しかし、資金繰りが苦しい企業は、返済の原資となるものがないのにこのような借り方をしようとします。
金融機関より高金利な業者から借りればより資金繰りは悪化します。もし親族や知人から借りて、返済できなくなれば今後の人間関係に影響します。
だからそういう資金調達は避けるべきです。
経営者の経営改善意欲がある
『リスケジュールをしながら経営改善を目指したい』とのご相談はよくあります。でも面談してみると、本気で自社を改善したいとの強い意欲をお持ちの経営者がいる一方、資金繰りを楽にして逃げたいだけで、経営改善の意欲が見られない方もいます。
面談していてもそういうのは感じ取れますし、意欲のある経営者が率先して行動している企業は、やはりというかかなり高確率で立て直しに成功します。
顧問先の一つに山形県のIT企業があります。年商をはるかに超える借入金残高、減価償却費はほとんどないのに営業赤字、社会保険料も滞納していました。そんなどん底から10年近く経ちましたが、今ではあと5年で借入金は完済するまでに再生しています。やはりその企業の経営者は、様々な改革を断行し、金融機関にも定期的な報告から逃げませんでした。
それとは逆の経営者も支援してきましたが、リスケジュールしても今まで通りの経営を続けるし、何か理由を付けて改善から逃げます。金融機関への説明もそうです。私のようなコンサルタントが何とかしてくれる、何かものすごいアドバイスや裏技を期待している方もいます。やっぱりそういう経営者さんはダメです。
資金繰りが悪化し高金利の融資に手を出しそうな中小企業であっても、経営者の経営改善意欲があれば、立て直せる可能性はあります。
経営改善計画書の作成
金融機関としては、リスケジュールによる支援をしてくれるとは思いますが、それは今倒産されて全額回収できないなら、一度は再生の時間を与えようということです。リスケジュールは経営を立て直す時間をもらっただけで、最終的なゴールではありません。
これまで述べたように金融機関からの資金調達が難しい、しかし経営者は経営改善意欲がある、このような企業ならリスケジュールで再生できる可能性は高いと思います。
とはいっても、金融機関は支店内や本部の承認を得るためには書類が必要になります。経営改善計画書です。計画書には資金繰り表も必要です。
しかし、いくら経営改善意欲が高い経営者でも、作成したことがなければ不安や面倒に感じると思います。みなさんがお付き合いしている税理士、コンサルタントなどで、経営改善計画書作成を得意とされている方の指導を受けるといいでしょう。
計画書を作成すると、自社の経営課題が見つけやすくなり、それを解決するための改善策が明確になります。