売上債権回転期間

資金繰り

売上債権回転期間とは、売上債権(受取手形や売掛金等)が月商(月売上高)の何か月分あるのか、そして現金として回収されるまでの期間を示す指標です。

売上債権回転期間の計算式

売上債権回転期間の計算式はこちらです。

売上債権回転期間=売上債権/月商(ヶ月)

売上債権について

一般的には「売上債権=受取手形+売掛金」となりますが、勘定科目にとらわれず売上代金の未回収分(未収入金等を利用している企業もあるかと思います)があればそれも加えます。また、割引手形や裏書手形について、受取手形を直接減額処理している場合は、割引手形や裏書手形の金額も加える必要があります。なお、販売前に前受金を受け取っている場合は、売上債権から前受金分を引くことが必要です。

月商について

何か月分の売上債権があるかは、月商を使うことで求めることができます。決算書から求めるとしたら、売上高を12で割って平均月商を求めることができます。しかし、売上高が月によって変動が大きいようでしたら、決算直前数か月(売上債権回転期間相当の月数)の平均月商を使ったほうがより正確になると思います。なお、分母を1日の売上高にすれば、何日分の売上債権があるかを求めることができます。

回転期間に異常はありませんか?

売上債権回転期間は短い方が資金繰りは楽になります。短いということは、売上高が計上されてからすぐに回収できているということです。逆に長いということは、回収までに期間を要しているわけですから、資金繰りが悪化する原因といえます。

売上債権の回収条件は通常でしたらほぼ一定でしょうから、この回転期間が大きく変化することはないはずです。過去と比較して長期化しているようなら注意が必要です。

長期化しているとしたら次の原因が考えられます。

回収不能債権の存在

売上先の経営悪化により支払ってもらえない売上債権が存在する場合は長期化の原因になります。売上債権の管理を強化し、入金が遅れ気味であれば督促を強化する必要がありますし、場合によっては取引額を見直す等の対応も必要です。

架空売上高の計上

金融機関に赤字の決算書を提出したくないからと、架空の売上高を計上していることがあります。その場合は、回収されるはずのない売上債権がずっと残ったままになるため、売上債権回転期間は長期化することになります。

販売力の低下

自社の取り扱い商品・製品が競争力を失っている場合、取引条件は売上先が主導権を握ることになります。その結果、販売から入金までの期間が長期化することが考えられます。

少しずつでも短縮化を目標に

いくら金融機関が運転資金を前向きに支援してくれるとしても、銀行融資に大きく依存せずに済むよう短縮化を目指していきましょう。

既存の取引先に、今までよりも早期の支払いを認めてもらいたいところです。当社顧問先でも交渉し認めてもらい資金繰りが改善されたケースはあります。しかし、「もう少し早めにお支払いをお願いしたい」と依頼したら、「あそこは資金繰りがかなり苦しいのでは?」と信用不安が起きるかもしれません。それは多くの経営者が避けたいことでしょう。

そんな場合、せめて新規取引先には自社に有利な条件で交渉するようにして、少しずつでも売上債権回転期間を短縮化していきましょう。

金融機関は売上債権の動きに注意しています。過去や同業他社との比較を行って異常があるようなら、回収不能債権や粉飾決算の疑いがないかを確認しています。