銀行融資以外の資金調達方法

資金繰り

資金調達を銀行融資に頼っている中小企業は、いつでもすぐに金融機関が融資してくれることを期待するわけですが、審査もあるので常に企業側の都合通りに行くとは限りません。申し込んだけど、「謝絶された」「審査に時間がかかって資金繰りが持たない」こともあるでしょう。

そんな時は銀行融資以外の資金調達方法を検討する必要があります。

銀行融資以外の資金調達方法

金融機関からの資金調達がダメだった、経営者の自分が自己資金を出すことができない、かといって知人や家族を頼る訳にはいかない、そんな時は次の資金調達方法が考えられます。なお融資限度額や金利は2022年10月15日現在のものです。

ネット銀行等からの資金調達

最近はこれまで金融機関が取り扱ってきた融資だけでなく、会計ソフトや口座データ等を基にした融資が増えてきましたし、ネット銀行が法人融資を取り扱っています。例えば次のような融資商品があります。

・三菱UFJ銀行のBizLENDING

三菱UFJ銀行が取り扱うAIを活用したオンライン融資です。三菱UFJ銀行の口座データを基に審査するため決算書の提出は不要です。したがって、三菱UFJ銀行で普通預金か当座預金を持っていることが条件です。本支店に行って面談する必要もありません。融資額は最大で1,000万円、金利は15%未満です。

・PayPay銀行のビジネスローン

PayPay銀行ではビジネスローンを取り扱っています。決算書の提出は原則不要ですが、審査の過程で必要になる場合もあります。融資額は最大で500万円、金利は1.8%~1.8%です。

・楽天スーパービジネスローン

楽天市場出店店舗向けのビジネスローンで、楽天での取引データから限度額が決まります。

このように会計データ等を活用した融資が増えてきました。取り扱っている企業は他にもあります。少しでも通常の銀行融資とは違う資金調達方法で、自社でも使えそうなものがないか探してみるといいでしょう。

ノンバンク

金融機関からの資金調達が期待できない中小企業は、他にどこかないかと考えた時、ノンバンクを思い浮かべるかもしれません。

決算書の内容が多少悪くても、経営者個人の信用情報に問題がなければ利用できる可能性はあります。ただ、ノンバンクだから金融機関よりも審査は容易に通るだろうと考えない方がいいと思います。

それに、不動産担保ローンの場合、不動産の評価額によってはかなりの融資額は出ますが、無担保の場合は数百万円程度なので、あまり高額な融資は期待できません。

ノンバンク利用についてはいろいろ意見があると思いますが、当社は正しい付き合い方をすればいいと考えます。

前向きな資金使途かつ返済原資がしっかりしている場合に限定しましょう。売上増加に伴う仕入等の支払いが先行して発生し、数か月以内には返済原資となる売掛金が確実に入金されるような場合なら利用してもいいでしょう。

しかし、高金利のノンバンクで借りて金融機関への返済に充てることはやめましょう。支払金利が増加しますし、返済期間も短いでしょうから、かえって資金繰りが悪化するだけです。

ファクタリング

最近利用が急増している資金調達方法です。売上債権(売掛金等)をファクタリング会社が買い取ることで、当初の入金予定日よりも早期に資金化ができるメリットがあります。

金融機関が融資を断るような企業でも利用できる可能性が高いため、資金調達手段が限られている企業にとってはありがたい存在です。

しかし、買取手数料が問題です。最近は売上先にファクタリングの利用を知られないよう、企業とファクタリング会社だけでやり取りをすることが多いのですが、そのような場合は買取手数料が高めになってしまいます。

買取手数料は以前よりも下がってきたとはいえ10%程度であるため、事業によっては利益を失ってしまうかもしれません。利用の前に条件をよく確認すること、そして安易な利用は控えるようにしましょう。

悪質なファクタリング業者もいます。もし利用するのであれば、手数料率はできるだけ低く、大手企業が運営しているサービスを利用してください。そして何か不安があればすぐに契約はせず、お近くの専門家に相談することも必要です。

クレジットカードを利用した支払い

ファクタリングは売上債権の早期資金化による資金調達でしたが、仕入や各経費については支払いをできるだけ後回しにした方が資金繰りは楽になりますね。

そのようなサービスを提供する企業があります。BtoB取引におけるあらゆる銀行振り込みの支払いを、手持のクレジットカードで決済できるサービスです。したがって、支払いをクレジットカードの引き落とし日まで延長することができることから、資金繰り改善ができます。

すべての資金調達が無理なら

資金調達ができなかった、あるいは厳しいと分かった時点で、資金の流出を抑えることを考えます。つまり、優先順を決めて支払っていくのです。

従業員への給料が最優先です。仕入先や外注先といった売上原価や製造原価に該当する支払いについては、手形支払いでなければ給与の次になります。そして一番後回しでもいいのは金融機関への返済です。

すでに資金調達ができないことが確認できているのですから、少しでも返済を止めることで資金繰り改善を図っていきましょう。

「リスケジュールをしたら今後の融資に影響が出る」との不安から、融資が出なくても真面目に返済を続ける経営者がいます。気持ちは分かりますが、融資が当面出ないことが明らかで、かつ業績もしばらくは低迷すると予想されるのなら、融資は期待できませんからリスケジュールで金融機関に交渉してください。