借入本数の増加による資金繰り悪化

「利益はしっかりと出ている、それなのに資金繰りが良くならない」

そんな悩みを持つ経営者は多いと思います。

その原因として考えられる例として、「機械や車両等の固定資産を自己資金で購入した」「売上債権の回収が遅れている」「棚卸資産が増えている」「経営者個人に貸付けた」「売上増加に伴い増加運転資金が発生した」などあります。そして最も多い原因としては「借入金の返済額が大きい」ことでしょう。

借入本数が多いと返済額は増える

仮に売上が3億円(月商25百万円)、税引後利益が売上の3%にあたる9百万円、減価償却費が3百万円あったとします。1年間で生み出される簡易キャッシュフローは12百万円です。

そして、借入金は月商の4カ月分に当たる1億円の借入金が1本あり、返済期間は7年としましょう。年間返済額は約14百万円です。

これでは「返済可能額12<年間返済額14」となりますから、手持資金が減少し資金繰りに影響が出てしまいます。

そこで2年後に返済分を新たに資金調達したとします。
・当初実行額1億円⇒2年間で28百万円減って72百万円、年間返済額14百万円
・今回実行額28百万円、返済期間は同じ7年、年間返済額は4百万円

すると年間返済額は14から4加算され18百万円に増加しますから今まで以上の資金流出が発生、資金繰りはより一層苦しくなります。しかし、今回1億円で融資を受け既存借入金残高72百万円を返済すれば、毎月の返済額は14百万円のままです。

このように借入金の本数が増えていくと、それと比例して資金繰りが苦しくなってしまうのです。

これは取引金融機関が多く、かつ担当者から言われるがままに借りているような企業で多くみられます。返済額負担ですし管理も面倒です。早期に解決することが望ましいでしょう。

解決策

1,借入本数を減らす

いくつもある借入金をまとめましょう。

返済が進み手持資金が減るたびに融資を受けていたら借入本数は増えていくだけです。本数を減らしてもらえるよう依頼しましょう。

金融機関に行って「まとめてください」とだけお願いするより、追加融資を受ける際にまとめてもらう方が担当者も応じやすいと思います。

注意点としては、融資の制度によってはまとめられないことがあります。例えば、信用保証協会の保証付き融資、資金使途が運転資金ならまとめられるとしても、そこに自治体の制度融資は含めることができない等です。もちろんプロパー融資と保証協会付き融資をまとめることもできません。

原則としては金融機関ごとでまとめます。A銀行からの借入金をB銀行でまとめるような行為は、B銀行との関係を悪化させますからやめましょう。増えすぎた取引金融機関を整理し、もうB銀行とは二度と付き合わないのならいいですけど。

そして今後は増えないよう注意していきましょう。

2,短期継続融資で対応してもらう

短期継続融資とは、企業が事業を継続するために必要となる「正常運転資金(経常運転資金)」を融通するための融資で、期日一括返済かつ返済期間が1年以内の短期融資です。期日到来時に手形貸付等の書き換えで返済期間を延長します。企業は事業を継続する限り返済は発生せず金利だけを支払います。そして、期日到来時に金融機関は事業内容を精査し、継続をするかどうかを判断します。

正常運転資金(あるいは、経常運転資金)とは、企業の正常な営業活動を行っていくうえで恒常的に必要と認められる運転資金をいいます。

商品を仕入れて販売し代金を回収、製造業なら原材料を仕入れて製造・販売し代金を回収するわけですが、商品・原材料や売掛金は日々の事業活動で一定額存在するものです。そしてそれらは企業が持つ現預金が化けたものといえますから、その分だけ資金繰りを悪化させます。

逆に商品や原材料を仕入れたけどまだ支払っていない場合は、貸借対照表の負債の部に買掛金や支払手形が計上されています。それらがあるということはまだ支払っていないわけですから資金繰りを楽にします。

したがって、「正常運転資金=売上債権(受取手形、売掛金)+棚卸資産(商品、原材料等)-仕入債務(支払手形、買掛金)」の分だけ企業は資金繰りを悪化させますから、先ほどの短期継続融資にて対応すれば返済が発生しないので資金繰りが改善されます。業況に大きな変化がなければ、原則は同額での継続を検討してもらえます。

昔は一般的だったこの短期継続融資に積極的な金融機関もあれば、そうでもない金融機関もあります。もし取引金融機関が積極的であれば、自社で対応してくれないか相談してみるといいでしょう。

借入本数を見直し、かつ短期継続融資が使えれば資金繰りは大きく改善されます。

銀行や税理士事務所等で勤務した経験を活かし、経営者の右腕・参謀として資金繰りや経営改善、銀行取引についてご支援します。相談できるコンサルタントや専門家がいなければいつでも連絡してください。

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