事業の存続力と回復力

銀行融資

顧問先の中には今週中お休みのところがありますけど、連休がようやく終わり今日からお仕事の方が多いかと思います。

しかし、何だか緊急事態宣言は延長みたいですし、まだまだ中小企業の経営には厳しい状況が続きそうです。そんな環境の中でも金融機関の支援を受け続けるには、自社の事業の存続力と回復力を説明しなければなりません。

計画書がなければ金融機関からの支援は得られない

これまではコロナで売上が下がっていれば、セーフティネット保証等を利用して融資が受けられましたけど、これからは「コロナで苦しいのは分かりました。では厳しい経営をどう改善していくのですか?」と今後の計画の提出を求められます。求められなくてもこちらから計画書を提出し説明できなければ、金融機関からの評価は得られません。

4月1日から「伴走支援型特別保証制度」がスタートしました。この制度を利用するには「経営行動計画書(経営計画書)」の作成が要件となっています。しかし、この保証制度の利用に限らず、どの企業でも計画書作成は必須になっていきます。

コロナウイルス感染症で多くの中小企業が経営危機に瀕していたから、昨年はお金をばらまきました。そして今年は、生き残った企業の中から支援すべきかどうかを見極める対応に変化しています。

金融庁は金融機関に対して融資先の本業支援を求めています。融資プラス本業支援を行うには、伴走支援型特別保証制度のような、計画書作成とその後のモニタリングがセットになった保証制度が適しているといえます。

だからこそこれからの融資取引を考えると計画書が必要なのです。いや絶対必要です。もちろん実現可能性のない計画書では意味がありません。

コロナ禍であろうと業績にまったく問題がないのなら、別に計画書なんてなくても金融機関は頭を下げて「借りてください」と言ってくるでしょう。しかし、そうでない、あるいは保証協会付き融資でしか相手してくれないのなら必要です。

金融機関行職員は限られた人数で多くの融資先を抱えています。だから支援すべき企業、残念だけど支援を打ち切る企業の選別が始まると考えてください。

計画書で自社の事業の存続力と回復力の説明を

経営行動計画書については、経済産業省のホームページにサンプルが公表されています。現状認識、財務分析そして具体的なアクションプランから構成されています。

ただ、これだけでは内容としては足りません。金融機関は、売上や利益見込みも聞いてくるでしょうから、現状認識や具体的なアクションプランをもとにして予想損益計算書等も作成していきましょう。

今後の数値計画を作成する場合、この具体的な内容から売上高の予想をするわけですが、何の具体的プランもないままに「これから10%売上は増加していきます」では実現可能性を疑われます。

アクションプランの内容は、サンプルよりもより詳細に考え記載していく必要があります。それによって今後の数値計画は信頼されるものとなります。

また、計画書の内容通りに経営は進んでいるのか定期的な報告が必要です。伴走支援型特別保証制度では4半期に1度のモニタリングによる経営状況の報告が必須です。

この保証制度を利用していなくても、通常だと半年に1回の報告が必要でしょう。その時に計画と実績では大幅な乖離があるようでは今後の支援にも影響をしてきます。したがって、できそうもない計画は作らないことです。

このような取り組みによって、コロナ禍においても自社には事業存続力があり、コロナ後は事業回復力がある企業だと評価してもらうようにしてください。