当社のように中小企業の資金調達や資金繰りに関する支援をしていますと、銀行やファクタリング会社等の方から連絡をいただきます。
他にも「リースを利用した資金調達方法もご紹介できます。もちろん紹介手数料をお支払いします」という内容もあります。
オーバーリースとは
リースを利用した資金調達というのはオーバーリースという方法です。これは絶対に手を出してはならない方法です。
聞いたことがない方はよく分からないかもしれませんから簡単に説明します。
コピー機や自動車等の固定資産のリース契約を行う際、実際の金額以上でリース契約を組むことで資金を調達する方法です。
例えば、コピー機が実際は30万円なのだけれども、販売会社と協力して100万円ということでリース契約を組みます。
100万円から30万円を差し引いた70万円が残るわけですが、販売会社は本来受け取る30万円に加えて手数料を受け取ります(例えば10万円)。さらに仲介業者への支払い10万円が発生、それらを差し引いた残金50万円を企業は手にすることができます。
つまり、資金調達はできるけれども手元に残るのは大幅に手数料を差し引かれた金額となります。
以前、X(twitter)を通じて当社に連絡してきた業者T氏は、複合機やオフィス什器のリース契約を組ませて、手数料を差し引いた金額を渡すと言っていました。
手元に残るのは仮に50万円だったとしても100万円の契約ですから、毎月の支払いは5年契約なら毎月1万7千円程度支払い続けなければなりません。
非常に危険な資金調達方法
ここまで読んでくだされば分かるかと思いますが、オーバーリースは非常に危険な資金調達方法です。当然ですがリース会社もそれを認めてはいません。
リース契約金額よりも大きく減額されるとはいえ、多少なりとも資金調達できますし、長期の分割払いだから何とかなりそうだと考えてしまうかもしれません。しかし、資金繰りはよくなるでしょうが一時的なものです。すぐに厳しくなりますし、手数料を差し引いている業者が儲かるだけです。クレジットカードのショッピング枠の現金化と一緒で絶対に利用しないでください。
資金繰りの相談を受けていると、オーバーリースやクレジットカードを使った方法で資金調達している企業に時々出会います。正直そこから再生できる可能性はほとんどありません。
そんな高い手数料が発生する資金調達方法を利用しなですむよう、資金繰りが苦しくなってきそうなら金融機関や専門家に相談して欲しいですし、もしすでにかなり厳しいとしても、正しい資金繰り改善方法で経営を良くしていきましょう。
資金繰りで悩む経営者を食いものにしようと狙っている業者がいつでもいます。特に景気悪化時は増えますから注意してください。