中小企業は収益力に比べ借入金の元金返済負担が大きいことはよくあります。みなさんも毎月の返済が苦しくなってきたので、返済額を減らしたいと考えることがあるでしょう。その場合、2つの方法があります。リスケジュールと借換えです。
リスケジュールと借り換えは異なります
次のようなケースがあったとしましょう。
借入金額は3,000万円、5年(60回)で返済、毎月の返済額は50万円(3,000万円÷60回)、3年経過して1,800万円返済したので残りは1,200万円、しかし毎月の返済額50万円が負担になっているとします。
リスケジュール
リスケジュール(以下、リスケ)は、当初の融資条件を変更してもらうことをいいます。例えば、毎月の返済額は50万円としたものを1年間20万円にしてもらうようなケースが該当します。
融資実行時の返済条件を変更してもらうのですから、金融機関の承認が必要となります。したがって、謝絶されることも考えられます。ただ、現状としてはほとんどが応じてもらえると思います。
借り換え
借り換えとは、新たな融資を実行してもらい、その資金で既存の借入金を返済することをいいます。リスケは融資を受けた時の契約が継続していますが、借り換えは、既存借入金は完済し、新たな融資契約が発生することになります。
例えば、1,200万円を5年(60回)の条件で新たに融資を受け、既存分1,200万円(当初3,000万円の融資)を返済したとしましょう。これにより毎月の返済額は1,200万円÷60回=20万円になります。
借り換えでもリスケと同じ50万円から20万円にまで大幅減額ができました。しかし、借り換えは新しい契約の融資で既存借入金を完済しましたから条件変更ではありません。つまりリスケとは違います。
このような融資はよく行われています。5,000万円借りて返済が進み残り2,000万円になったが、手持資金を増やしたいので、新たに5,000万円借りて2,000万円を返済する増額借り換えのケースです。それにより返済によって減少した資金を調達できるのです。
返済によって減少した手持資金を増額借り換えによって回復したい、毎月の返済額が資金繰りに負担となっているので返済期間の長い融資で借換えしたい、これらを理由に借り換えが実行されることは珍しくありません。
借り換えなら今後の新規融資に大きな影響はなく、リスケよりも相談に乗ってもらいやすいでしょう。
リスケの前に借り換え
資金繰りに悩む企業で、追加融資を受けようとしてもあまりいい返事がもらえない場合、借り換えとリスケを検討しましょう。
まずは借り換え
先ほども申し上げましたが、借り換えは返済条件の変更ではありませんが、リスケは「毎月の返済が苦しいので返済額を軽減してください」と条件変更をお願いすることになります。金融機関からすれば、その後に新規の融資をお願いされても「返済が難しいと言ってきたから減額しているのに、そんな企業に新たな融資をしても返済してくれないだろう」と考えてしまいます
それにリスケした融資は貸出条件緩和債権となります。つまり不良債権として原則取り扱うことになるのです。したがって、リスケ中の融資は極めて難しくなります。
リスケ中でも新規融資が出る可能性はあります。しかし、リスケをしていない場合とでは極めて大きな差があります。
まずは借り換えによって返済額を減らせないか検討してみることです。先ほどの例のように50万円が20万円まで減らせればかなり資金繰りは楽になるはずです。
新規融資が出ない、借換えも認められなければリスケ
しかし、経営悪化が深刻で資金繰りが厳しく、元金返済を大幅に減少しないと資金がショートしそうで、かつ金融機関も新たな融資を出す姿勢が見られないようなら、リスケを勝ち取る交渉を優先しましょう。
金融機関には申し訳ないのですが、融資してくれないのなら従業員、仕入先、その他経費、税金や社会保険料を優先させ、返済は一番最後にさせてもらいます。
とはいえ金融機関の協力は不可欠です。「今は返済をストップさせてください。その間に経営を立て直し、返済が再開できるようにします」とお願いします。金融機関も当初の約束通りに返済ができないのですから、本当にできるのか書類を作成して説明して欲しいとなります。金融機関の協力を得るため、そして自社の経営を再建させるためにも、経営改善計画書を作成してください。
当社ではそのような立場に置かれた中小企業の経営改善計画書作成支援を行っています。