補完金融がコロナで急増

請求書 資金繰り

当社顧問先ではほとんど利用はありませんが、最近、ファクタリングに関係する報道をよく見るようになりました。

利用が急増するファクタリング

12月9日、日本経済新聞「補完金融 コロナで急増

売掛債権を現金化するファクタリングなどの「オルタナティブ・ファイナンス(補完金融)」が急速に広がり、この記事では日本だけでなく世界で市場規模が拡大したとありました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

オンラインファクタリングを手掛けるOLTA(オルタ)は、地方銀行との提携が進んでいますが今年の申し込みは急増しているとのこと。

この原因の背景には、コロナ禍で企業の資金繰りが逼迫していることがあげられます。昨年4月から政府系金融機関は実質無利子・無担保融資を実施し、5月からは民間金融機関でも融資を行ってきました。

すでにコロナから回復している企業もありますが、業績回復が遅れかつ借入金が膨らんでいる場合、追加融資を求められても金融機関は信用保証協会が100%保証してくれるのなら応じるでしょうが、そうでなければ融資に応じることが極めて困難な企業からの相談は多いでしょう。

そんな理由からファクタリング利用が急増しているのです。中小企業からすれば確かに手数料は高いけど、売掛債権があれば資金調達できる可能性がありますし、とにかく結果が早く出るのが魅力です。

金融機関としては、これ以上リスクは負いたくないが、何とか資金調達の手段を提供できます。OLTAと提携している銀行はより推進してくるでしょうし、提携銀行も増えていくでしょう。

Biz Forwardのファクタリング

株式会社Biz Forwardは、株式会社マネーフォワードと株式会社三菱UFJ銀行の合弁会社です。そして12月13日から中小企業向けオンライン型ファクタリングサービス「SHIKIN+」の受付を開始しました。

特徴としては、2者間ファクタリングですから売掛先への通知は不要、手数料は1~10程度、その他費用は不要です。

サービスについてはこちらをご覧ください。

OLTAと同様、銀行が関係しているファクタリングサービスですから、中小企業も利用しやすいのは間違いありません。真面目に事業を行っているファクタリング会社が多いのですが、一部には違法な貸付けをしている業者もいます。そこがよく分からない経営者さんは両社のサービスなら安心ですね。

売掛債権を使った融資の1つにABLがあります。中小企業が保有する売掛債権を担保に融資をする手法ですが、利用実績はあまり伸びていません。売掛債権を売買するファクタリングの方が、利用しやすく金融機関・企業双方にメリットがありますから、このようにメガバンクも中小企業へのファクタリング事業に力を入れていくでしょう。

三菱UFJ銀行

ファクタリングよりも銀行融資を優先

このようにファクタリングの利用が急増しているのですが、以前はよく当社に「ファクタリングを利用したい」「ファクタリングとは何ですか」とのご相談がありましたし、当社をファクタリング会社と勘違いされている方もいました。しかし、最近1年間は全くありません。

それだけ中小企業経営者に知られる資金調達方法になったのでしょうし、ネットで検索すればたくさんの取扱会社が見つかります。

競争が進んだおかげで、数年前までは買取手数料が20%なんて普通でしたけど、OLTAの手数料は2~9%、Biz Forwardは1~10%、他のファクタリング会社でも同程度かやや高い程度の水準になってきました。

日本の市場規模は他の先進国と比べると小さいですし、これからも金融機関の取扱いは増えるでしょうから、銀行融資に次ぐ資金調達方法として利用は拡大するでしょう。

しかし、銀行融資よりも高い手数料(利息)を支払う資金調達方法です。資金調達まで短期間、銀行融資よりも提出書類が面倒ではない等のメリットはありますが、日数を要するし必要書類が多いけども低金利の方がメリットは大きいでしょう。

売上が100、売上原価が90、粗利益が10だとしたら、手数料10%のファクタリングを利用しただけで利益は0円になってしまいます。もう少し粗利益が大きいとしても、売上高経常利益率が5%程度の企業なら収益力以上の手数料を支払うのです。

手軽な資金調達方法にはデメリットもあります。取引金融機関からはファクタリングではなく銀行融資を提案される経営を目指しましょう。

もしコロナ禍で赤字が続いているようでしたら、これまでの経営を一度見直してみませんか。国の補助金を頂きながら経営改善ができる公的支援制度がありますから、自社の経営改善に関心をお持ちでしたら一度ご相談ください。