銀行融資

決算書を見てから判断したい

2021-12-13

融資を申し込む時の必要書類として、決算が終わったばかりのタイミングなら決算書だけで大丈夫ですが、しばらくすれば試算表が必要となります。

試算表はあくまで「試算」ですから、融資を得たいがために決算書以上に調整していることが多いので、金融機関は正直あまり信用していません。しかし、途中経過を知るにはこれしかないから審査に必要な書類としています。だからといって決算書を信用しているわけではありませんけど。

試算表より決算書

融資審査に必要な試算表ですが、決算が近づいてくると試算表ではなく決算書を見たいと言われることがあります。例えば、3月決算の企業が2,3月に融資を受けたいとしても、担当者が「あと少しで決算ですから、決算書を見てから判断したいと思います」なんて言ってくるのです。

「決算書を見てから」というのは、本当にそうかもしれませんが、断り文句の可能性も少なくありません。絶対融資しないわけではないけど、今のところ消極的、残り数カ月で結果を出して良い決算書になっていたら考えてもいいかなという程度です。優良企業なら決算を見てからなんて言ってきませんから。

断り文句ではなかったとしても、金融機関からすれば精度の低い試算表なんかよりもう少し待っていれば(試算表よりは多少ましな)決算書ができるのだから、それまで待ちたいのは当然かもしれません。10カ月程度経過した試算表の段階では黒字だったから、そのまま黒字で決算を迎えるだろうと予想していたのに、いざ決算書が完成してチェックすると赤字だったなんてこともあるのです。これまでの利益調整を元に戻した、あるいは納税額が負担に感じて利益を減らすようにした等でそういうことがあるのです。

今期がまだ半年程度ならいいのですが、決算が近づいて提出された試算表の数字は精度が高いと信じ融資をして、たった2,3ヶ月で大幅に違っていたら担当者は上司から何言われるか、と考えればやっぱり無理はしないでおこうとなります。あともう少しなのだからそれまで何とか自己資金で頑張ってもらって、決算書が完成したら融資を申し込んで欲しいと考えるのです。

大企業だけでなく中小企業も3月決算が最も多いです。3月決算の企業が来年に入ってから融資を申し込もうとすれば、決算が近いことになりますから「決算書を見てから判断したい」と言われるかもしれませんから注意が必要です。

諦めるわけにはいかない

しかし、経営者からすれば決算申告までまだ数カ月あるのですから、そんなのを待っていたら資金ショートしてしまう、試算表で何とか審査して欲しいと願うでしょう。

本来はそんな切羽詰まってから融資を依頼するのが問題なわけですが、しっかり資金繰り管理をしていてもそんなことになる場合もあります。

決算書を見てからと言われて、「分かりました。仕方ないですね」で諦めるわけにはいきませんね。

そんな時は、今期の実績と残り数カ月の見通しを保守的に作成し精度の高い決算予想を提出しましょう。

試算表を月ごとに実績と見通しを作成します。そして売上見通しは保守的に、支出は多めに予想しましょう。また減価償却費は限度額まで計上、仕入も支払ったときに計上するのではなく発生時に計上します。税込経理なら今期の見込み消費税を租税公課に入れてください。

売上についてはどうしても見通しがよく分からないようなら、今期の前期比推移で売上を予想してみましょう。例えば今期は前期比で平均5%売上が増加しているなら、今後もそう予想してみるのです。それならそう大きく予想と実績が乖離することはないでしょう。それが下のグラフのようにこれまで5%増加(実線)だったのに、何の根拠もなく大きく増加する予想(点線)を作成すれば信頼性に欠けるでしょう。

売上予想

もし売上が急増するなら根拠を説明できるようにします。新規顧客開拓が成功した、通常よりも大きな発注がある等です。それならば契約書等何か説明できる資料があるはずです。

期中に翌月どころか数カ月先の売上げまで前倒し計上して見た目の良い試算表を作る中小企業がありますけど、後で面倒なことになるのでやめたほうがいいでしょう。

年間の資金繰りを見通す

1年間の中でずっと利益を出し続ける企業もあるでしょうが、売上や利益の増減が大きい企業もあるでしょう。もし後者であるならば、期中の好調なタイミングあるいは決算書完成直後に融資を受けるようにしましょう。その時は1年間の資金繰り見通しをチェックして、必要資金を調達した方がいいと思います。

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代表 瀬野正博

中小企業の経理部長・経営者の右腕として、経営改善、資金繰り安定、銀行との良好な融資取引、経理業務のサポートを行っています。このブログでは、中小企業経営者向けに資金繰りや経営改善・銀行融資に関する情報を発信しています。

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