悪質な粉飾決算は絶対にやめましょう

経理業務

てるみくらぶという旅行会社が、融資詐欺事件を起こしたことはご存じでしょう。

実際には事業存続が不可能な状態であったにもかかわらず、経営は順調なように決算書を粉飾して、金融機関はまんまと融資金を騙し取られていました。

決算書を粉飾して融資金を騙し取る事件は時々ニュースになりますが、公表されないものも含めると結構あります。

悪質かどうか

中小企業の決算書は、多少の利益調整や本来やるべき会計処理をしていないことも多く、細かい事をいえば何らかの粉飾をしていることがほとんどです。しかし、悪質であるかそうでないかの違いが大きいのです。

悪質でない例

・固定資産の減価償却費未計上
・売上債権の回収不能による貸倒損失未計上

減価償却費の未計上については、会計のルールではやらなければなりません。しかし、税法ではやらなくても問題ないことや、繰越欠損金があれば、それを使い切りたいという理由から、減価償却費を未計上にすることもあります。

貸倒損失については、税務調査で問題になりやすいことや、社長が回収不能を認めたくないため、そのままにしてしまいがちです。

したがって、金融機関を騙す意図はないことがほとんどでしょう。

悪質な例

・債務超過や赤字決算を隠すため、架空の売上や在庫を計上する
・仕入債務や借入金を貸借対照表の負債の部から消してしまう
・現預金残高を偽る

これらの方法によって、経営は安定あるいは順調に見せることができるため、金融機関の与信判断を大きく誤らせることになるので、悪質な粉飾といえます。

さらに、決算書が金融機関別、税務署用、自社用と複数あるケースは極めて悪質です。金融機関も粉飾決算の対策は取っていますが、完璧に見抜けるわけではありません。

決算書の化粧はまだ許されるけど、整形手術はダメと覚えておきましょう。

今後、悪質な粉飾には厳しい対応となるのでは?

金融機関は悪質な粉飾決算で被害を受けても、裁判を起こすには手間がかかるし、勝訴しても回収できる可能性は低いでしょう。それに粉飾決算を見抜けなかった自行庫の恥を晒すことにもなり、消極的になってしまうようです。

しかし、決算書の粉飾による被害が続くようなら、今後は金融機関も断固とした措置に踏み切るケースが増えるのではと思います。金融機関も厳しい経営環境に置かれているのに、粉飾による被害で損失を増やすわけにはいきませんし、それにあまり弱腰な対応だと「あの金融機関は粉飾決算に騙されやすいし、もしばれても対応が弱い」と印象付けてしまいますから。

当社と一緒に経営を見直しませんか

粉飾決算は麻薬と一緒で、ちょっとのつもりで手を出すと徐々にはまってしまい、正常な状態に戻すことが難しくなっていきます。

「粉飾決算しようかな」と考えているなら絶対にやめましょう。

すでに手を出してしまっている場合は、直ちに経営改善に着手しましょう。

「粉飾から手を引いて経営改善をしろといっても、どうしたらいいのか分からない」「金融機関に知られたらまずいのでは」と不安になる経営者さんもいるでしょう。

当社がこれまで経営改善をお手伝いした先には、かなりの粉飾決算をし続けていた中小企業はいくつもあります。そして、最悪の状態から黒字決算まで回復した企業が多いです。

なお、かなり粉飾していると顧問税理士では対応が難しいケースがあります。というのも、粉飾決算に顧問税理士が(積極的かどうかに関係なく)関与しているわけですから、その税理士と一緒になって金融機関に支援を求めるのは避けたほうがいいでしょう。

それなら、これまでお付き合いのない専門家に相談し支援を受けた方がいいのです。

粉飾決算をしている中小企業経営者さん、ぜひ経営改善に取り組んでいきましょう。経営改善に本気で取り組む経営者様なら、当社は喜んでお手伝いします。