銀行融資

手形貸付の提案

2018-08-24

「『手形貸付で借りませんか』と銀行から提案を受けました」というご相談がありました。

ベテラン経営者なら手形貸付をご存知かもしれません。しかし、「証書貸付は知っているけど、手形貸付とは何?」という経営者さんも多いでしょう。

手形貸付とは

手形貸付とは、企業側が借用証書の代わりに約束手形を金融機関に振り出し、金融機関は手形金額を融資する方式です。期間が1年以内の短期融資に利用されます。

かつては運転資金に対応する融資としてよく利用されていました。しかし、融資業務の効率化や、金融検査において手形貸付の一部が不良債権に該当するとの判断がされたことが原因で、利用残高は減少していました。

その代りに証書貸付が増加しました。金融機関から運転資金を調達しようとすると、期間は5年程度で毎月少しずつ返済を求めていく条件(信用保証協会の保証が付いていることも多いです)になっていることが多いでしょう。

正常運転資金に適した融資手法

企業の正常運転資金(あるいは、経常運転資金)を支援するには、この手形貸付はふさわしい融資手法です。

正常運転資金は決算書の貸借対照表から求められます。計算式は「正常運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務」です。この分だけ企業は常に資金繰りが苦しくなります。

商品在庫や売上債権が常に発生しているような企業は、運転資金の確保に悩みます。そんな時に証書貸付による資金調達は、調達時点では資金繰りに余裕があるのですが、毎月の返済が進んでいくたびに、本来商品仕入をするための資金が返済に充てられてしまいますから、それだけ資金繰りが不安定になります。

そこで、半年あるいは1年後を期日の手形貸付で対応し、毎月の返済を求めない(期日一括返済)ことで資本金に似た効果を及ぼし資金繰りの安定に貢献します。

そして、期日が到来したら通常は一括返済となります。しかし、業況に大きな変化が無ければ、形式上はいったん返済してもらうけど、継続して融資をするということになります。

「期日に継続してくれないリスクがあるだろう」というご意見もあると思います。確かに0%だとはいいません。業績が極めて悪化しており今後も改善に見通しが立たないとか、在庫や売上債権の大半が架空や不良債権化しているというのなら、手形貸付の継続をしない対応も考えられます。しかし、通常の経営状態では極めて低いでしょう。

それに、もし継続が認められないとしても一括返済はできない中小企業が多いので、通常は毎月の返済を求める、あるいは証書貸付で借り換えをしていく対応となります。

 

手形貸付の提案があったら

もし、取引金融機関から手形貸付で対応したいという提案があったら、いつもと違う対応に「何かあやしい」とか「当社に不利な提案なのかな?」と感じる経営者もいるかもしれません。しかし、悪い話ではなく、みなさんの会社を支援したいという提案だと考えて原則大丈夫です。

この手形貸付ですが、少しずつですが普及に力を入れている金融機関が増えてきたように思います。当社の顧問先でも対応してもらっているケースが増えてきましたし、みなさんの会社も取引金融機関からそういう話は出てくると思います。

半年とか1年は短く、またその時に融資の相談をしなければならないというのは、何だか面倒な感じにも思えてしまうかもしれません。しかし、決算説明以外で年に1,2回、自社の経営状況を金融機関に説明できる良い機会だと捉えてください。

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代表 瀬野正博

中小企業の経理部長・経営者の右腕として、経営改善、資金繰り安定、銀行との良好な融資取引、経理業務のサポートを行っています。このブログでは、中小企業経営者向けに資金繰りや経営改善・銀行融資に関する情報を発信しています。

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