バンクミーティング

銀行融資

バンクミーティングとは

バンクミーティングとは、特定の日時、場所に、融資取引のあるすべての金融機関に集まってもらい、企業が自社の現状と今後の見通しや支援して欲しい内容の説明、そしてそれらについて合意を得るために行なわれる会議です。

例えば、業績悪化により金融機関への返済が苦しくなりリスケジュール等の金融支援を得るために、バンクミーティングで経営改善計画書の内容を説明し同意してもらうような場合に行われます。

バンクミーティングのメリット

取引金融機関の数が1つか2つ程度ならそれほど面倒ではありませんが、自社の事業規模に応じて複数の取引がある場合、金融機関を1つ1つ訪問して支援をお願いしていたら非常に手間がかかってしまいます。

メインバンクを中心に意見がまとめる場合もありますが、複数の金融機関がそれぞれの主張を繰り返し、なかなか合意に至らないこともあります。

例えば、金融機関が次のように主張し始めたとしましょう。

A銀行:B銀行は信用保証協会付きで融資全額がフルカバーされている。当行は大部分がプロパー融資でやっているのだから、融資残高割合で返済額をシェアするのは納得いかない。

B銀行:C銀行は9月まで返済してもらっているようだが、当行は8月から返済が滞っている。今後の話をする前に、まずはこれを何とかしてもらわないと。

C銀行:A銀行はプロパーが中心とはいえ、今まで3%台の金利で儲けている。当行は1%台だ。その辺も勘案して返済計画を作ってもらわないと。

D銀行:うちは融資残高全体の5%しかないのだから、メイン行に肩代りしてもらいたい。

こんな感じで意見がまとまらず、そこからすべての同意を取り付けようとしたら、自社の再生に使う時間も体力も無くなってきます。そんな場合はバンクミーティングを開催して解決を図ったほうがいいのです。バンクミーティング開催のメリットは次のとおりです。

金融機関への交渉の手間が省ける

金融機関との交渉がそれほどこじれていないにしても、企業側からすると1つ1つ訪問して説明するだけでもかなりの時間がかかります。全金融機関担当者が自社の指定する場所に集まるバンクミーティングの方が手間も省けて効率的です。

自社の情報が共有される

全員が集まったところで自社の情報を提供することができます。リスケジュールの依頼であれば、経営改善計画書を提出し経営者や幹部が全員の前で、具体的な経営改善策、その後の収支予想や返済計画を説明します。

金融機関は、自行が得る情報は他行と同じ内容かを非常に気にします。他行は自行よりもより多くのかつ有利な情報や資料を得ているのではないか、そして不利な立場で同意させられたりしないだろうかと考えます。

しかし、バンクミーティングを開催すればそれは解消できますので、金融機関にはメリットがあるといえますし、企業側からすれば支援の取り付けがしやすくなります。

同意が得やすい

金融機関は非常に他人の目を意識します。各行それぞれと話している時は強気な発言や態度を取っていても、他行担当者もいる席ではそこまで強気な対応にはならない事が多いものです。

たとえどこかの金融機関が「当行はもう支援はしない。担保不動産は競売する」と発言しても、自社に協力的な金融機関が「当行はこれからも支援していきますから、御行も協力してください」と言われると強気な姿勢が落ち着くことは多いものです。

また、メインバンクが支援を表明すれば、他行はそれに追随することが期待できます。

金融機関はどこに注目している?

金融機関が知りたいのは、計画内容の実現可能性、そして数年後には利益計上や債務超過解消が期待できるか、そして今後の返済計画です。

返済を一時据置にして経営改善を支援するのですから、金融機関が一番注目するのは返済計画になるのは当然でしょう。そのため、金融機関への支援同意を取り付けるためには計画書の作成は非常に重要です。

したがって、まずリスケジュールをお願いしなければならないと判断したら、まずはメインバンクに相談してください。そして協力を得られるとなったら、自社で経営改善の専門家の力を得ながら計画書を作成し、メインバンクにも内容をチェックしてもらって精度の高い計画書にしてください。

計画書作成

自社の将来性を中心に説明を

経営改善を実行するにしても、直ちに業績がV字回復することは珍しいでしょう。計画書を見て、こんな事態に至った原因の責任や、返済額が少ない等、厳しい事を言われるかもしれません。

しかし、過去や現在の説明も必要ですが、今後の自社の将来について多くの時間を使って説明しましょう。1時間からどんなに長くても2時間程度です。限られた時間を使って、「いま当社を潰してもほとんど回収できない、だったらこれから業績を回復させるから協力して欲しい」と訴えるのです。

当社も顧問先のためにバンクミーティングをやったことがあります。全取引金融機関から支援を取り付けてはいたのですが、信用保証協会がどうしてもやって欲しいというので、やらないわけにもいかずやりました。

最近は余程のことがない限りバンクミーティングを開催することはそう多くはないと思います。ただメリットにも書いたように、取引金融機関の数が多いのでしたらやった方がいい場合もあります。しかし、既に各行からの合意が得られているのであればわざわざやる必要はありません。メインバンクからの支援方針が得られれば、他行もそれに追随することが多いでしょう。