営業利益よりも経常利益

決算書 経理業務

決算書の中にある損益計算書には利益がいくつもあって、上から売上総利益(いわゆる粗利益)、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、税引後当期純利益と並んでいます。

営業利益と経常利益はプラス?

利益ですからどれも大切なのですが、銀行融資については営業利益や経常利益が重要と聞いたことがあるかもしれません。

最終的な税引後当期純利益が企業に残る利益ですから、本来はここが黒字でなければなりません。確かにそうなのですが、税引後利益と経常利益の間にある特別利益(例、固定資産売却益)や特別損失(例、固定資産売却損・除却損、火災や災害による損失)といった、通常の経営活動では発生しない利益や損失により利益が大きく変動する可能性がありますから、それらが計上されているのなら影響を受ける前の営業利益や経常利益が重要というわけです。

営業利益は売上総利益(粗利益)から販管費・一般管理費(給料、地代家賃、水道光熱費、通信費、広告宣伝費等)を差し引いた利益ですから、日々の営業活動で獲得した利益です。したがって、非常に重要な利益です。ここがずっと赤字なら活動はしない方がいいということに。

最近では財務分析に使う指標は、この営業利益を使って計算することが増えたように思います。

営業利益よりも経常利益

経常利益は「ケイツネ」とも言います。これは営業利益から営業外の収益や費用を加減したものです。

営業外収益の例としては、保険料の解約返戻金、補助金や助成金、それ以外にも本業ではないけど副業のような収入です。当社顧問先だと自動販売機の収入が毎月数千円入ってきます。営業外費用の代表例は借入金の利息や手形の割引料です。

中小企業の多くは、金融機関からの資金調達に大きく依存する傾向があります。負債の部には多額の借入金が計上されていませんか。そうだとしたら金融機関に支払う借入金利息は無視できません。しかも返済原資は利益と減価償却を合計したものになります。したがって、中小企業では営業利益よりも経常利益を重視するべきです。

ただし、支払利息は毎月発生しますし、先ほどの顧問先の自動販売機収入も多少の変動はあっても毎月入金されますが、補助金・助成金、保険の解約返戻金等は頻繁に発生するものではありません。企業の収益力を見るのなら、それらの偶発的な収入は除いて考えたほうがいいでしょう。

営業利益と支払利息のバランスを見るための重要な財務指標の一つにインタレスト・カバレッジ・レシオがあります。

インタレスト・カバレッジ・レシオ=(営業利益+受取利息・配当金)/支払利息・割引料(倍)

事業利益(営業利益+受取利息・配当金)が金融費用(支払利息・手形割引料)の何倍あるかを示しています。今は預金金利がほぼ0%ですし、配当金をたくさん受け取っている中小企業はそう多くありませんから、「営業利益/支払利息」で考えていいでしょう。「営業利益=支払利息」の時は1倍となりますから、経常利益をプラスにするためにはそれ以上でなければなりません。

また分子は、資金流出を伴わない減価償却費分を足し戻した計算資金を用いることも考えられます(営業利益+減価償却費+受取利息・配当金)。設備投資が頻繁にあり、減価償却費の計上額に変動があるようでしたらこちらを用いるといいでしょう。

このように支払利息を引いた経常利益が中小企業では重要で、もし営業外収入に臨時的な収入が含まれていれば、それらを除いて経常利益がプラスかどうか、そこから借入金返済が可能かどうかをチェックするようにしてください。