取引先の選別

企業は取引先からいただく売上代金で人件費や諸経費の支払い、そして納税、残った利益分で借入金の返済、経営の安全性向上のために手持ち資金として残す、あるいは今後の事業拡大のため投資等に使っていきます。

したがって、各取引先とは自社にとって利益を生むようなお付き合いをする必要があります。当たり前のことなのですが。

ある取引先への年間売上高が仕入+諸経費を超えていたら赤字になってしまいます。その場合には取引先に値上げを要求する、あるいは自社がコスト削減を行い利益を出す、どちらも実現できなければ取引解消を検討しなければなりません。

赤字の取引先がありませんか

「赤字でも取り引きする企業なんてあるの?」と思われるかもしれませんが、経営悪化が深刻な企業ではそういうケースもがあるのです。こんな企業とお会いしたことがあります。

北関東に本社がある会社さんの売上をチェックしていたら、毎月1万円程度販売している取引先がありました。仕入は9千円、これだけなら毎月千円利益が出ます。取引先がその企業に買いに来てくれるならいいでしょう。しかし、話をよく聞くと車で往復2時間かけて納品しに行っているといいます。

ということは時給が仮に千円としたら2千円、ここですでに赤字です。他にもガソリン代がかかっていますし、車両を維持するためのコストだってかかっています。さらに通信費、地代家賃等の経費がいろいろ発生します。

そういったところまで考えて利益が出ているのか、取引先ごとに確認して欲しいのです。売上があれば利益は出ていると思い込んではいけません。

「長年付き合ってくれている」または「売上が減少してしまう」からと、利益が出ない取引を継続する必要があるのでしょうか。経営者はご自身や家族、従業員を犠牲にしてまで、そんな取引をする必要はないはずです。

赤字でも例えば、建設業なら仕事がなくても従業員の給与は毎月発生しますから、トータルでは赤字でも材料費・外注費、他諸経費を賄え、従業員への給与分が多少でも得られればと受注するケースはあるかもしれません。

しかし当然ですが原則は利益を生む取引をしなければなりません。

儲けるのは悪?

厄介なのは、儲けることを「悪」のように考えている経営者です。経営悪化で悩む企業からのご相談が多いためか、一部にこういう経営者がいらっしゃいます。以前お手伝いした経営者さんに「儲かるお客さんとだけ付き合いませんか」とアドバイスしたところ、「儲かるか儲からないかで取引先を選別するのはよくない」と言うのです。

現状では多少赤字でも、これから取引拡大が見込めるならいいでしょう。しかし、そうでないのなら値上げや訪問回数を減らすなど条件の変更、それを受け入れていただけないのなら取引解消を考えなければなりません。

それで空いた時間を他の取引先に使うことができますし、新たな取引先開拓にも振り分けることができます。もちろん経営改善も進むことになります。

厳しい経営環境を生き抜くためには、そのような選別をしなければなりません。経営を続けることができなくなれば、経営者自身が困るだけではありません。従業員やその家族もそうです。さらに自社の商品・製品そしてサービスを利用してくださる多くのお取引先に迷惑をかけることになるのです。そして、儲けることで納税義務が発生します。国や地域に納税で貢献することができるのですから、決して「悪」ではありません。

銀行や税理士事務所等で勤務した経験を活かし、経営者の右腕・参謀として資金繰りや経営改善、銀行取引についてご支援します。相談できるコンサルタントや専門家がいなければいつでも連絡してください。

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