信用保証協会に直接相談

経営相談 銀行融資

信用保証協会は、信用力の面で劣る中小企業のために保証人になってくれる公的機関です。保証が付くことで金融機関もリスクを軽減して融資ができるわけですから。中小企業にとって大切な存在です。

最近は貸出競争激化や、2018年4月から実施された信用補完制度の影響もあり、プロパー融資(信用保証協会の保証が付かない融資)をするケースも増えてきました。しかし、業歴が浅いあるいは業績が悪化すれば利用を求められる可能性は高く、大企業と比べ赤字や債務超過になりやすい中小企業は、信用保証協会との良好な関係が大切です。

金融機関は中小企業に信用保証協会を利用させることで原則80%(制度によっては100%)が保証されます。信用保証協会は金融機関がプロパー融資では対応できない企業でも、経営者保証のみで原則無担保で最大8千万円(企業により限度額は異なります)まで保証します。そう考えると金融機関との付き合いは大切ですが、同程度あるいはそれ以上に信用保証協会との良好な関係も必要といえるのです。

信用保証協会への直接相談は可能

顧問先からこんな相談を受けたことがあります。

「前期の決算はやや調子が悪かったですし、借入金も少し増えてしまいました。しかし、これから確実に売上が増加するのに伴い資金調達が必要です。社長である自分が事前に信用保証協会に行って相談してもいいのでしょうか」と。

信用保証協会から保証を得て融資を受ける場合、金融機関が間に入って対応してくれますから、経営者が保証協会担当者と直接会うことは通常ありません。

しかし、この顧問先のように真面目というか経営熱心な経営者は、「保証協会さんにもお世話になっているのだから、前期の経営結果を説明するなどの対応をしたほうがいい」「融資申し込みの前に現在の経営状況を知らせたい」と考える方もいます。

もちろん経営者が直接行って相談するのは問題ありません。今後の保証審査が難しくなりそうだと感じるのなら、その方が信用保証協会との関係にはプラスです。

東京都信用保証協会のホームページには次のように書かれています。
保証利用についてお問い合わせを多くいただく質問をまとめました。Q6より

Q6保証申し込み前に相談はできますか?

A当協会では各支店保証課窓口でご相談を承っております。会社の場合は代表者、個人事業者の場合はご本人が、本人確認資料(運転免許証やパスポートなど)をご持参の上、お気軽に窓口にお越しください。

神奈川県信用保証協会にも同様の内容が書かれています。
よくある質問」より

Q借入について、信用保証協会に直接相談することはできますか?

A中小企業の皆さまからの金融相談について、本店・各支店で承っています。事前にご連絡をいただけるとよりスムーズな対応が可能となります。

通常は窓口が混みあうことはありませんし、職員も嫌な顔せず丁寧に対応してくれますから気軽に行って大丈夫です。

信用保証協会に行ってみましょう

通常、金融機関から保証協会付融資を申し込むと、金融機関を通じて信用保証協会へ保証申し込みがなされます。そして、中小企業と信用保証協会の間に金融機関が入ってやり取りをすることになります。初めて利用するなど特別なことがない限り担当者と会うことはないでしょう。

実際のところ、本当に行く人はあまりいないかもしれませんし、経営に何の問題もなく順調であれば直接相談は不要かもしれません。しかし、直近の決算書が悪かった、今後厳しい経営が予想される、自社の事業規模にしては借入金残高がやや多い等、今後の保証を受けるにあたり不安要素があるのなら、決算報告と今後の業績見通し等を説明する機会を設けてもいいでしょう。

金融機関担当者任せのデメリット

金融機関が間に入ることによる問題点もあります。

①信用保証協会への説明が不十分

担当者が自社の代理人のようになって保証獲得に動いてくれるわけですが、うまく交渉できなかったり、また自社の事をしっかり説明できなかったりすることがあります。信用保証協会に定期的な報告が求められる保証制度を利用していたとしても、企業が金融機関に行う報告がそのまますべて伝わるとは限りません。

②自社をどう評価しているのか分からない

金融機関の担当者に任せてばかりですと、保証協会の担当者が自社をどう見ているのか、どれくらい評価しているのか、どの辺の改善を期待しているのか等がよく分からなかったりするものです。

ですので、時々は直接会うことで自社の現状を説明し、かつ自社をどう見ているのかを確認するのがいいのです。

訪問するメリット

経営者が直接訪問し相談や経営報告するメリットは、これまで述べたデメリットの解消が期待できることです。金融機関から提出された資料や説明だけよりも、経営者からの直接説明を受けた方が理解は深まります。

経営者側も信用保証協会の姿勢を理解することで、今後の資金調達や資金繰りに関する対応策を考えることができます。

当社のお客様であったことなのですが、信保協会付融資を申し込むも毎回断られていました。銀行担当者には直接の理由が伝えられていないため、原因が分かりませんでした。しかし、経営者が直接会うことでその原因が分かり、改善したことで保証を得られたことがありました。

他にもやや特殊な事業を営んでいる経営者が、取引信金に説明するものの今一つ理解していないようで不安に思っていました。そこで社長は信用保証協会に出向き、直接説明することで理解が得られ保証審査がスムーズに進んだこともありました。

直接相談することにいい顔をしない金融機関担当者がいます。自分の知らないところで信用保証協会と接触することを快く思わないのです。そんな時は「事前に資料を持って説明し、少しでも保証がスムーズに得られるようにしただけです」と言えば理解してくれると思います。

訪問する際は必ず資料を持って行きましょう。具体的には決算書や試算表は必ず必要ですし、できれば資金繰り表も用意しましょう。経営悪化が進んでいるのなら、経営改善計画書等もあるといいでしょう。