穴熊社長

経営者

穴熊社長とは、社長室にこもってばかりで現場やお客様の所に行かない経営者を、経営コンサルタントである一倉定氏が名付けました。

経営者というのは、部下から報告を受け指示を出すことが仕事、動くのはすべて部下の仕事という考えの方はいます。

しかし、社長室にこもってばかりで販売の現場を見ない、取引先と会わない、外部とのつながりが減ると、お客様が何を求めているのか分からなくなってきます。経営者がこれは良い商品だと思っても、お客様の趣味趣向が変化すれば売れません。だから外に出てお客様の意見を聞き、変化を感じ取ることが大事ですし、正しい経営判断には不可欠です。だから穴熊社長がいる企業の業績は悪いことが多い。

現在お付き合いしている当社顧問先で社長室をお持ちの企業はありませんけど、これまでお会いした中には社長室がある企業もありました。

で、経営者が社長室にこもってばかりいる企業は業績が確かに悪いです。社長室がダメなわけではありません。社長室がなくても、社内で偉そうに椅子にふんぞり返っていてはダメということです。

作れば売れた昔の時代なら社長室にいるだけでもなんとかなったでしょう。しかし、変化が早く多様化の時代、お客様訪問をしてどんな不満や要望があるのか、お客様から教えていただく必要があります。それは社内もそうです。工場、倉庫、店舗などにも頻繁に訪れ、現場の意見も聞く必要があるでしょう。

不良在庫はないか、機械は順調か、作業上の問題はないか、店舗なら来店客の行動をチェックする、商品はキレイに陳列されているか、しっかり清掃されているかなど、チェックすべき箇所はいくらでもあります。

自分は〇〇業界には詳しいと思っていても、穴熊社長は世の中の変化に取り残されてしまっているのです。経営者は「部下は何も分かっていない」と言っても、従業員からすれば、「社長は何も分かっていない、いつの時代の話だよ」となっているのです。実際、従業員の言うことが正しいことが多いでしょう。

それに社員から正しい報告があるとは限りません。都合が悪いことは隠されると思っていた方が良いでしょう。怒られると思えば言いたくはないですし。やはり経営者自身でも現場を見る必要はあるのです。

自社の経営改善を実行しようと計画を作成するには、まずは社長室を出ましょう。そして取引先や従業員の話をよく聞くために取引先訪問、社内も隅々までよくチェックしましょう。

10年以上付き合いのある顧問先なのですが、そこの経営者は典型的な穴熊社長でした。売上減少や社員の退職に歯止めがかからなくなった時には、年商を超える借入金になっていました。そして、ようやく現場に出るようになりました。

元々知識と経験は豊富でしたから、お客様の要望を取り入れ満足いただけるサービスを提供できるようになり、5年経った頃には優良企業に生まれ変わりました。

ぜひ皆さんも穴熊社長にはならないよう注意してください。

ちなみに、当社は社長室がありませんし、家にいれば妻から休日も働けと言われるので、穴熊社長になることはできません。