取引金融機関の数が多すぎるのは問題ですが、逆に少なすぎるのも考えものです。
1行取引では関係が悪化すれば資金繰りに影響が出るからです。複数と取引をしていれば適度な競争が生まれ、金利等の条件面で企業が有利になりやすいといえます。
ではもう少し増やそうと思ったときどうしたらいいでしょうか。
金融機関から営業に来てもらう方法
今まで取引が全くない金融機関から融資を受けることもできますが、それではこちらがお願いする側になってしまいます。できれば向こうから融資のセールスをしてもらえるように働きかけたいですね。
信用調査会社からの調査依頼に応じる
代表的な信用調査会社としては、帝国データバンクや東京商工リサーチがあります。それらから調査依頼があったら応じるようにしましょう。
金融機関は信用調査会社の資料を参考に営業してくることが多いからです。
回答はもちろん任意であり、応じなければならないものではありませんが、企業の信用度をアップさせるためにも可能な範囲で応じてください。
預金口座を開設する
金融機関から営業してもらうことが目的ですが自社の存在を知ってもらうため、まずはこちらから出向いて普通預金口座を開設します。メガバンクを除いた地域金融機関(地方銀行、信用金庫、信用組合)で、必ず皆さんの企業規模に合った金融機関を選んでください。
急いでいない姿勢を示す
口座開設の目的は取引先からの入金口座に使いたいなどと伝え融資の相談は避けます。そしてその時に、自社地域の担当者、あるいは融資課の行員を紹介してもらいましょう。そして、「今回は預金取引だけですが、半年後には融資で相談に乗ってください。ご迷惑でなければ試算表を毎月提出します。」と話しておきます。
「急いで融資を受けたいです」と言っては、今付き合っている金融機関からフラれた、あるいは相当資金繰りに困っているとマイナス評価を受けるだけです。つまり、こちらは急いでいない姿勢を示すことです。
自社の経営資料を提供し続ける
このように伝えれば、自社を訪問してもらいやすくなりますし、定期的に試算表や資金繰り表を提出していけば、その確率はより高くなります。
担当者が付くようになったら、その方に決算書や試算表を渡して経営報告をすればいいし、もしいなければ融資課に持っていくことで、徐々に融資提案を受けやすくなります。
口座が開設されたら、すでに付き合っている金融機関との関係もあるので、すべてとはいかないまでもできるだけ売上代金の入金口座にしたり、可能な範囲で給与や仕入先への支払いに使い、預金残高を置くようにしてください。
紹介
知り合いの経営者、税理士や経営コンサルタントなどに紹介してもらう方法もあります。
ただ、誤解しないで欲しいのは、紹介を利用することで丁寧に対応してもらえる可能性はあります。行員としては「優良先の〇〇社長からの紹介だから丁寧に対応しないと」となります。しかし、審査に影響あるかといえばそんなことはありません。融資が出ないものが承認されることは通常ありません。
それでもせっかく紹介していただいたのですから、継続的に経営資料を提供しながら付き合っていきましょう。
訪問してきたら必ず対応する
突然、金融機関が訪問してくるかもしれません。
そんなときに、「忙しい」と面談を断ってはいけません。それは社員にも徹底しておきましょう。金融機関が訪問してきたら社長につなぐようにと。もし不在であれば名刺を頂いて後で連絡するようにしてください。
訪問してきたら必ず会って話をしてください。担当者はセールスに来ているのですから、こちらにとってはチャンスです。
決算書を提出するのは初日ではなく2回目でもいいかもしれません。それは資金繰りに困っている企業に見られたくないからという理由です。「取引銀行に預けたままになっているので、次回までに3期分揃えておきます」などと言ってもいいでしょう。
また、決算書の内容があまり良くないのなら、「うちの決算書はあまりよくないから」と事前に言ってみましょう。それでも自社への融資に積極的なら決算書を提出します。決算書だけで判断せず、企業の事業性で評価する金融機関も多いのでチャンスはあります。