日頃、私たちはテレビ、インターネット、新聞、本等によって情報を得ることができます。何か困ったことがあれば、まずはネットで調べようとする方が多いでしょう。
パソコンやスマホで簡単に調べることができ非常に便利です。しかし、最新の正しい情報が得られる一方、古く間違った情報も混在しています。
間違った情報も多い
実際、誤った情報を得ている経営者に出会うことがあります。例えば次のような内容です。
2年間は融資を申し込めない
1年前、日本政策金融公庫に申し込んだら融資を断られてしまったという中小企業経営者からのご相談です。今の状況を確認してみると、融資が出る可能性が極めて高いので、再度申し込みをするようアドバイスをしたところ、「融資がダメとなったら、2年間は申し込みができないとネットに書かれていました」とのこと。
2年だけでなく、1年とか半年とおっしゃる方もいました。
それはどれも正しいとはいえません。
経営者として日々頑張っていれば、通常は半年前と比較して業績にも変化が出てくるはずです。半年後も業績にさほど変化がなければ、再度申し込みをしても同じ結果かもしれません。しかし、業績が好転しているのなら、否決されてからまだ半年という理由だけで受け付けてもらえないことは通常ありません。ましてや2年間は再度申し込みができないなんてありえません。
5年間元金返済を0円にしたい
「ネットで調べていたら、ある中小企業は5年間元金返済を据え置きしてもらっていると書いてあったので、うちでも5年、できたらもっと長く返済を0円にしたいのですが」とのご相談もありました。
確かにそのような支援を受けている企業は存在します。当社顧問先でもありますから。しかし、他社が受けている支援内容を自社でも行ってくれるとは限りません。金融機関の中小企業支援は融資先企業の経営内容以外にも、各金融機関の経営状況や支援姿勢等によっても大きく変化するからです。
企業によって様々
ネットを使って自ら調べるのは良い事ですが、間違った内容が書かれていたり、他社にとっては正しい事でも自社にとっては間違っている事が書かれていたりすることもあります。ホームページの更新が遅れているために、その記事を書いたときは正しい事でも今は間違っている事もあります。それに金融機関の対応は各企業によって異なります。したがって、ネットの情報をそのまま鵜呑みにはしないほうがいい場合が結構多いのです。
経営に大きな影響を与えるような内容の場合は、やはり専門家に直接相談したほうがいいですし、理想的には複数の専門家と付き合っておいたほうがいいでしょう。
金融機関の支援に絶対はない
金融機関が融資先企業をどのように支援するかは、決算内容、今後の事業継続可能性、担保、そしてこれまでの付き合い方等によってまったく異なります。そして、ネットに書かれたことが自社に必ず該当するとも限りません。
例えば、よく税金の未納があると融資は出ないと聞くかと思います。確かにその通り厳しいです。しかし、滞納している税金問題を解消するために融資をすることもあります。
あるいは大掛かりな粉飾が明らかになればせいぜいリスケジュールによる支援を受けられる程度ですが、当社顧問先では今まで通りに運転資金を融資してもらったことが最近ありました。
どちらも極めて稀なケースではありますが、金融機関による支援に絶対はないのです。
そのような支援を受けられる企業に共通するのは、事業価値が失われておらず今後の事業継続性や成長が十分に期待できること、そして積極的な情報開示がカギとなります。