新型コロナウイルス発生前から、金融機関には融資先の粉飾決算による被害が増えていたのですが、これからはより粉飾が増えてくるだろうと警戒を強めてきます。
これまで正常な融資先だと思っていたら突然倒産、よく調べてみたら以前から粉飾決算をしていたというケースが少なくないのです。
「何で見抜けないの」と思われる方もいるでしょう。財務分析の結果、疑われる決算書を見つけることもできますが、かなり手の込んだものだと難しいことも多いのです。
それに、担当者が粉飾の疑いのある企業の担当になったとして、何となく怪しいと感じていても、とりあえず正常に返済されているならそのまま様子を見るでしょう。余計なことをして倒産なんかしたら、自分の管理能力を問われることになりかねないですし。
それに確たる証拠もないのに粉飾の疑いがあるだけで、経営者に決算内容について質問して、もしやっていなければ大変失礼なことになってしまいます。
あるいはすでに知っているけど、すでに多額の融資残高になっていれば、粉飾を理由に新規の融資を断り回収不能となるのも避けたいでしょう。
もし取引金融機関がそのような対応をしてくれるからと、これからも粉飾を継続することはよくありません。
最初はほんのちょっとの粉飾だったとしても、徐々に手の込んだものになっていき、しまいには金融機関ごとに決算書を作成する企業もいます。粉飾するにしても決算書は一つだけということが多いのですが、中には金融機関ごとに作成する企業もあるのです。
そこまで行くと、経営者だけの能力では難しく、粉飾に長けた悪質な専門家が関与していることが多いかもしれません。
しかし、粉飾された決算書をいくつも作り続け管理するのは難しいと思います。というのも、A銀行に提出する決算書をB銀行に提出してしまったとか、複数の決算書が信用保証協会に行ってしまい信用を失った企業の話をよく聞くからです。そんなことにでもなれば、金融機関だけでなく信用保証協会からも完全に信用を失います。それは今後の保証協会付き融資はないということです。
経営が好調なら、過去の粉飾決算を知らない別金融機関からプロパー融資の可能性もあるかもしれませんが、今のコロナウイルスの影響を受けていたら信用保証協会の支援が必要になるでしょう。
翌月の売上を前倒しした、在庫をちょっといじった、そのあたりでやめておきましょう。もし、それ以上の粉飾をしなければ資金調達が難しくなってきた、あるいは今までは求められなかった資料提出要求が増えてきた、粉飾を疑われているように感じるなど、もう隠しきれなくなってきたと感じたら、担当者から言われる前に申し出たほうがいいです。
粉飾をしていれば新規融資は難しいでしょうから申し出るタイミングもあります。少しでも手持ち資金にゆとりのある時がいいでしょう。
自社を存続させるために仕方がないとお考えの方もいるでしょうが、粉飾決算は金融機関に嘘の資料を提出して融資を受けているのです。被害金額によっては逮捕された経営者もいます。
ひょっとしたら「きれいな決算書を作って融資を受けやすくしますよ」などと言ってくる自称専門家がいるかもしれませんが、どうかそういう方に依頼をしないでください。
粉飾をしてしまった中小企業経営者様から連絡を頂くことがよくあります。お付き合いさせていただく顧問先には今後の経営改善に必要なため、金融機関への過去の粉飾について報告してもらっています。今のところすべての顧問先が、リスケジュールではありますが継続支援を受けています。
もし粉飾のことでお悩みなら当社にご相談ください。「お問い合わせフォーム」をご利用くださるか、お電話(03-6403-4984)ください。
お電話の場合、当社が契約している電話秘書会社の女性が出ますので、もちろん粉飾の件は言わなくてかまいません。「経営のことで相談したい」とだけお伝えください。