無借金経営は理想的だけど

借金はなるべくしたくないですし、できれば借入金をどんどん返済していって、無借金経営をしたいと思いますよね。それに無借金経営は超優良企業という感じでイメージも良いでしょう。
よほど潤沢な資金をお持ちなら無借金経営でも良いとは思います。ただ、資金繰りの事を考えると、それが必ずしも良い事だとは限りません。
資金がなくなれば経営はできません
自己資本比率という財務指標があります。
この自己資本比率(=純資産/総資産)が高いということは、それだけ負債に頼らず過去から利益を積み上げている、あるいは返済義務のない増資によって資金調達をしている企業ですから、安全性の高い企業ということにはなります。金融機関からも高い評価を受けますし、自己資本比率以外の財務指標でも借入金の少ないほうが良い結果が出ます。
しかし、いくら金融機関から優良企業と評価されても、手元の現預金がなくなれば経営は危険な状態になることを認識しておく必要があります。
安全な経営をしていくには、できれば返済義務のない出資による資金調達が理想的ですが、それが無理なら銀行融資を使っても、資金に余裕を持たせたほうがいいのです。
借金が嫌だからと手元の現預金が少ないと、資金繰りに時間を取られ本業に集中できません。それなら融資を受けてでも余裕を持たせた方が経営に集中できるのです。
借りやすいタイミングで資金調達しておく
金融機関は「晴れの日には傘を貸し、雨の日には傘を貸さない(取り上げる)」といわれます。雨の日だからこそ貸す(融資をする)という姿勢も見受けられますが、雨の日でも貸して大丈夫だという材料がその企業にあるからです。それ以外の企業は雨の日は貸してくれない事の方が多いですよね。
こういう金融機関の姿勢に文句を言う人がいますが、融資したお金を返してくれる安全な企業を相手にしたいと考えるのは当然の事です。もし雨の日であってもどの企業にも積極的に融資するなら、金利は1~2%ではとても経営していけません。
しかし、「晴れの日に貸して、雨の日には貸さない」金融機関の対応は分かっているのですからそれを利用したほうが良いのです。今は業績が良くても、今後はやや不安があるのでしたら、銀行から「借りてください」と言われている間に借りておくことも検討しましょう。
それに、財務内容は良好であっても、全く借入がないよりも過去の返済実績が見えているほうがやはり金融機関は安心します。融資でのお付き合いも継続されているほうがいいのです。
今は雨の日でも「当社も近い将来は晴れの日になりますよ」と経営改善計画書で説明して、将来も返済に懸念がない事をしっかり説明できれば、政府系金融機関や信用保証協会は可能性があるかもしれません。
繰り上げ返済はよく考えてから
資金に少し余裕ができたからと繰り上げ返済をしたがる経営者は少なくありません。支払利息を減らせますし、その考え方は理解できます。
ただ、返済は簡単にできますが、再度新たな資金調達をするためには、労力と時間が必要となります。それに絶対次も融資してくれるとは限りません。
借入金が多くても倒産はしませんが、資金が不足すればどんなに財務内容が良くてもすぐに倒産です。
それに最近は繰り上げ返済をする場合、手数料を取られるケースが増えてきました。
したがって、今後の業績や資金繰りの見通しをよく確認してから実行するようにしましょう。