試算表の提出が遅いということは

経理業務

月ごとや特定期間の経営状態を数字で確認することができる試算表は、企業が必ずチェックすべき書類ですし、金融機関も審査で必要とします。

すぐに提出できますか

直近の試算表をすぐに提出できる、これは管理部門がしっかり機能している企業の証です。そして、試算表をチェックして利益額や利益率に異常はないか、赤字なら利益を出すにはいくら必要か、経理処理でミスはないかが確認できますし、これまでの実績が分かれば見通しも作りやすくなります。正しい経営判断に必要ですし、早めに節税対策もとりやすくなります。

逆にそれが困難な企業は様々な経営課題を抱えている可能性が高いといえます。

例えば、業績悪化等から管理部門に人件費をかけたくないからと経営者が片手間にやっている、または能力的に低い社員が担当しているため会計ソフトを使って試算表を提出することができない、会計事務所に外注しているとしても、書類を渡すのが遅いから試算表完成までに日数を要するのです。

それでは自社の経営を数字で確認することができません。古い結果でしか確認ができませんから正しい経営判断ができないし、問題が発生していても発覚が遅れ経営改善を進めることができません。そして利益が出ていたとしても節税対策が遅れることになるでしょう。

それに金融機関から試算表を求められてもすぐに提出できませんから融資審査が遅れます。資金調達に日数を要しますから資金繰りにも影響します。

金融機関に融資を相談して、担当者から「では最新の試算表をお願いします」と言われたとしましょう。その場でまたは数日中には提出できれば全く問題はありません。

試算表の提出が遅いと

試算表が1週間、2週間しても提出できないと「経理業務がずさんだな」、提出しても「急いで作成したから信頼性が低いのでは」と思われてしまいます。さらには「試算表は作ったけど、思ったよりも数字が悪くて、提出できないでいるのでは」「数字が悪いから、どう調整(粉飾)しようか悩んでいるのではないか」と疑われることにもなりかねません。

セーフティネット保証のように前期比との比較で売上減少が対象要件なら、(やってはいけないけど)いくら減らそうかと考える経営者がいますし、金融機関担当者からの指示でされた方もいるでしょう。

増加運転資金のような前向きな資金需要で融資を受けたいのに、試算表を見たら悲惨なことになっていたでは、見た目をよくするために苦労される方もいます。実際、自分ではよく分からないからと「明日、銀行に試算表を提出すると約束したのだが、どう数字をいじったらいいか急いで教えてくれ」なんてお電話をいただくことがあります(そういうご相談は一切お断りしています)。

その場は上手くごまかして資金調達できたとしても、大規模な調整というか粉飾をしていると、後で発覚する可能性は非常に高いです。試算表はあくまでも今期途中経過の「試算」ですから、後で数字が修正されることはありますけど、変なことはせず迅速に対応したほうが金融機関からの評価はむしろ良いと思います。試算表だけでなく決算書もそうです。

粉飾で金融機関を騙すような行為はもう時代遅れです。試算表の作成が遅い、そして内容をごまかすことは、経営と資金調達どちらにもマイナスです。なお、当社では経理業務をサポートする「経理部長代行」も行っていますし、提携税理士をご紹介することもできます。