頼りになる政府系金融機関

銀行融資

新型コロナであったり大震災やリーマンショック等、経済危機や自然災害により多くの中小企業が甚大な被害を受けた場合、民間金融機関は保守的になり、逆に政府系金融機関は頼りになるケースが増加します。

政府系金融機関の資本性劣後ローンが増加

昨日の読売新聞に資本性劣後ローンの記事がありました。

読売新聞2021年10月10日
劣後ローン、中小企業のピンチ救う命綱に…コロナ長期化で利用拡大

コロナで財務内容が悪化した中小企業を支援するために政府系金融機関が取り扱っている「資本性劣後ローン」の利用が拡大しているとの内容です。

日本政策金融公庫は今年8月末までに件数で3847件、金額にすると5,759億円実行しています。

日本政策金融公庫の資本性劣後ローンの融資決定先数及び金額資本性劣後ローンは、毎月返済がない期日一括返済で、借入金ではありますが自己資本と見なすことが可能という特徴があります。それ以外にも融資先企業が倒産した場合、他行の融資の返済が優先され、資本性劣後ローンは返済順位が低い扱いになります。

資本性劣後ローンは以前からありましたが、貸す側の金融機関は回収リスクが高いのであまり取扱い件数は増加しませんでした。しかし、コロナ禍で中小企業支援策が限られる中、毎月返済を抑え資金繰り改善支援を目的として、徐々に取扱い件数は増加してきました。

ただし、金融機関もそれ相応にリスクを負う融資ですから、どの企業でも利用できるものではありません。難易度は高いと思ったほうがいいです。コロナで一時的に大きな経営悪化に陥っても、早期に回復が可能な企業に限られてきます。

事業計画書の提出が必須ですから、専門家の支援を受けながらでもいいから作成しなければなりません。全部他人に任せてもきれいな計画書は完成します。しかし、経営者がその内容についてしっかり説明できないなら、資本性劣後ローンでの資金調達は難しいでしょう。

日本政策金融公庫や商工組合中央金庫(商工中金)といった政府系金融機関ほどではありませんが、民間金融機関でも取り扱っています。当社の顧問先はことわりましたが、もし提案を受けたら検討されてはいかがでしょうか。

いざという場合に頼りになる

顧問先が商工中金から短期継続融資で資金調達しました。資本性劣後ローンのような長期ではなく短期で1年ごとの書き換えですが、約定弁済がないことから資金繰り改善効果があります。

その顧問先はコロナで赤字が続きかつ債務超過、しかも年商に近い借入金があります。それでも計画書で今後の説明を行ったところ承認が下りました。

経営計画書や経営者の説明から、悪化した経営から再生可能と評価できる場合には、条件の良い融資を獲得できる可能性があります。「確かに今は厳しい経営だけど徐々に改善が進んでいる。もう少し資金繰り改善に協力して欲しい」との希望をお持ちであれば、メインバンクだけでなく政府系金融機関にも相談しましょう。

民間金融機関が頼りないと感じるかもしれません。しかし、やはり大規模な経済危機や自然災害による影響を受けた中小企業支援に、大きなリスクは取りづらいでしょう。

だからこそ政府系金融機関との関係は良好であって欲しいですし、できれば普段から少額でもいいので融資取引はあった方が非常事態にもスムーズに審査は進みます。