金融機関と融資取引をしていると、期日前に繰上返済をしたいと思う時がありませんか。それは主に次のようなケースでしょう。
繰上返済を考えるケース
資金繰りに余裕がある
資金繰りに余裕がある場合、繰上返済をしても問題ないのであれば、余計な支払利息を削減したいと思うはずです。
利息が減ればその分だけ資金流出は抑えられますし、損益計算書の利益が改善されますから、今後の金融機関からの評価にもプラスです。
他行でより条件のいい融資を提案された
業績が好調になってくると、金融機関側から融資提案を受けるようになります。他行の条件をヒアリングして、他行よりも低金利を提案してくる、あるいは他行が保証協会付なら自行はプロパー融資をしてくるのです。
そうなれば、過去に借りた条件の劣る融資を完済したいと思うのは当然なことです。
今後の資金繰りに影響がないように
資金繰りにゆとりがある、あるいは他行から条件のいい融資を提案されたとしても、本当に繰上返済をしていいかよく確認しましょう。
本当に資金繰りに問題がないか
金融機関から融資を受ける時、印鑑証明書や試算表等を用意したり、融資の相談や申し込みに行ったり、多少なりとも時間と手間がかかります。それに業績が好調な企業を除いて、次も必ず融資を受けられる保証はありません。
そう考えると、当面は融資の必要がないほど資金が潤沢であるならかまいませんが、そうでないとしたら、無理に繰上返済をするのは避けた方がいいでしょう。支払利息削減よりも資金繰り安定の方が大切です。
金融機関との関係に影響はないか
いきなり繰上返済をすると、担当者は上司から「社長から返済の件について事前に相談はなかったのか」「しっかり管理しているのか」と注意を受けます。預金や融資残高を管理しているので、繰上返済は多額の融資残高が減少しますから、支店の業績にも影響するからです。
手持資金で繰上返済をするならまだいいでしょうが、他行からの融資で返済となると、その金融機関との今後の取引に影響が出るかもしれません。
金融機関に気を遣って経営をする必要はないのですが、事前に相談というか伝えた方がいいかと思います。その方が担当者のダメージは少ないですし。
事前に伝えると、繰上返済を止めるよう説得されるかもしれません。そんな時は「資金にゆとりがあるけど、当面使う予定はないし、それなら繰上返済をして利息支払いを抑えたい」あるいは、「他行からいい条件をもらっていて、御行でも同条件で応じてくれたらありがたいけど。どうしても売上増加が難しく経費削減も一杯で、そうなると少しでも金利を下げて、利益を出していかざるを得ない」等と説明しましょう。
このように自社の経営を改善するために必要だと言うのが良いと思いますが、ただそれでも、他行で融資を受けて返済するのは慎重にしましょう。
手数料について確認する
最近は繰上返済に対して手数料を徴収することが一般的になってきました。融資を受けた際にもらった書類に書いてないか確認しましょう。
低金利で収益力が弱いため手数料収入に力を入れています。最近は手数料金額の引き上げを行っている金融機関も多いですから、結構高い可能性があります。
今から完済時までに支払う利息よりも高いのであれば、無理に返済しない方がいいでしょう。
金融機関の数は減少
先ほども申し上げましたが、金融機関に気を遣って経営をする必要なんてありませんが、やはり良好な関係を長く続けた方が資金繰りの安定にはメリットがあります。
これからも金融機関そして支店の数は減少していきます。取引できる金融機関が減っていくということです。だからこそ今お付き合いされている金融機関とは、ぜひいいお付き合いをしてください。
多少の金利差で借換えをしたり、過度な低金利といった条件ばかりを求めているようでは、金融機関側の取引メリットはなくなってしまいます。自社の経営がまずは第一ですが、金融機関のことも多少は考えて付き合っていきましょう。