計画内容は金融機関の言いなりにならない

銀行融資

経営が悪化している状況でリスケジュールや新規融資を依頼する場合、経営改善計画書を提出することが多いのですが、その計画内容を認めてくれないことがあります。

当社でお手伝いした昔のケースですが、リーマンショックの影響を受けて売上が大幅に減少した顧問先がありました。その顧問先はそんな厳しい状況から新しい優良取引先を開拓したため、売上増加は確実でした。しかし、銀行担当者からは「この影響は5年位続くだろうから、売上は横ばいにして人件費等を中心に経費を削減して利益を出す内容にしてください」と言われたのです。

顧問先社長から計画内容変更の相談を受けましたが、私は自信があったのでそのままの内容で押し通すことをアドバイスしました。そして、計画通りの結果になったことから、メイン行からの信頼を得られるようになりました。

良い数字を作って来いと言われたケースもあります。売上減少が続くのは確実で、嘘の計画を作っても後で困るので、実現可能性の高い数値計画を出しました。すると担当者から「これでは本部の承認が下りない」と言ってきて、もっと売上を増やした数字にして書き直して欲しいということでした。

こんなこと言われると、担当者の意見に従って修正した方が楽なのは事実です。しかし、5年も10年も先の数値計画が達成できなくても仕方がないでしょうが、計画1年目から全く達成できなければ、計画内容自体が信用を失うことになりかねません。

「担当者に言われて提出しました」という言い訳は通用しません。担当者から言われたとしても自分で提出したのですから、計画内容に責任を持たなければなりません。それに担当者が変わったらそれこそ「そんな話は知らない」となってしまいます。

その場しのぎの数字を作るのではなく、自社努力で改善実行して達成可能な数字にするべきです。

計画内容によっては一度で 承認されないこともあります。金融機関のアドバイスを受けて修正することはありますが、できもしない内容にすることは避けましょう。そのような計画書を提出し、後で自社の立場を苦しくしてしまう結果になった事例はいくつもあります。

ところで、先ほどのケースのように「本部の承認が下りない」あるいは「下りなかった」と言われることがあります。本部のせいだと言い訳にして使うのです。

金融機関は支店と本部が融資では対立することがよくあります。担当者の立場としては、自分が本部から承認を得やすいようにするため、「本部が承認してくれない」と言って計画内容を書き換えるよう指示してくることがあるのです。

しかし、それでも計画内容が外部要因や自社の経営努力によってできることをしっかり確認したのなら、原則はそのまま交渉するべきです。

なお、金融機関が計画書を作ってくれることがあります。自社にとっては楽ですが、その場合でも必ず計画内容は確認するようにしましょう。