「取引銀行から融資を断られてしまった。しかもしばらくは無理と言われた。これからどうしたらいいのだろうか。」というような内容で経営者さんが相談に来られることはしょっちゅうです。昨日お会いした会社さんもそうでした。
そのような対応を受けてしまう前から、金利引上げや担保の提供を求められた等、融資の条件が悪化したり、融資実行までに時間がかかったりと、何らかの兆候はあったのではないでしょうか。
やさしい担当者なら、「このままでは追加の融資が今後難しいと思います。」と言ってくれるかもしれません。言われなかったとしても、今考えてみると何かあったはずです。本来は兆候があったときから対策を考えて、行動しなければならなかったのです。
「銀行に見捨てられてしまった。もううちの会社は終わりだ」と悲観的になってしまう方がたまにいらっしゃいます。
銀行が融資をしないという事は、その企業はそれだけの信用や魅力がないということです。おそらく売上も横ばいや低迷して返済能力がなく、取引先からも評価されていない企業になっている(なりつつある)と思います。しかし、銀行が融資できないと言ってきたのは、「今の経営のままではいけませんよ」という合図でもあるのです。
だから、銀行からしばらく融資は無理と断られたら、自社の事業を大きく見直すいい機会だと考えて欲しいし、そのように頭を前向きに切り替えましょう。
取引先や条件を見直す、または今までの事業を見直すことで再生できないか検討してみるのです。
当社の顧問先は、「もうどうせうちにはK信用金庫は融資してくれないのだから、それを前提に経営をしていく」と言って再生しました。
そのためにその顧問先は以下の取組みを行いました。
1、大手企業からの仕事は儲けが少ないし入金も遅いから付き合わない。
2、利益率が高く入金も間違いない先からの仕事がある場合は、ノンバンクを利用しても資金調達をする。利益率が高いし、年利が10%程度でも、1~3か月程度で返済するのでそれほど負担にはならない。
3、今までは売上の大きい仕事を求めがちであったが、そうすると材料仕入が資金繰りを圧迫するので、あえてそういう仕事は受けない。
4、リスケジュールをして、今後の経営計画書を作成し予想キャッシュフロー内での返済額を取引信用金庫に認めてもらう。
その結果、売上は減少しまいましたが利益は出やすい体質になり、また資金繰りも大幅に改善されました。そうして徐々に体力を回復してきたら、今度はK信用金庫が借りてくださいと頭を下げてきました。
こういう会社さん当社の顧問先には結構多いです。もちろん、すべての企業がこのように上手く行くわけではありません。それぞれの企業や業種によっても異なります。この顧問先のように取引先を見直すだけで再生できる場合もありますが、今までの事業で新たな顧客開拓、新規事業を立ち上げる等の改善が必要となることもあるでしょう。
リスケジュールだけでいいのか、それだけでは不十分なら事業売却か後継者がいれば第二会社も考えられるでしょう。
日本政策金融公庫や信用保証協会はしっかりとした事業再生計画があれば、支援してくれる可能性がありますから、そちらにアプローチする事も考えられます。
なお、なぜ融資が出なかったのか理由を尋ねるのは必要です。しかし「助けてください」だとか「何とかしてください」としつこく付きまとっても、銀行の対応は変わりません。むしろ逃げていくだけですからやめましょう。