支払手形をやめる

資金繰り

手形取引はかなり減少しましたけど、業歴のある企業が手形や小切手を振り出すことはありますし、業種によってはまだ利用されています。

仕入先への支払いに手形を振り出すことは、それだけ支払日を延ばすことができますから、資金繰り改善につながります。資金調達の1つともいえるでしょう。

ご存知でしょうが、支払手形の不渡りで企業は倒産しますが、金融機関からの借入金では倒産しません。

詳しく申し上げると、一度目の不渡りが発生すると、全金融機関にその情報が共有されてしまい、さらに6カ月以内に二度目の不渡りが発生すると、銀行取引停止の処分を受けます。金融機関とは当座預金取引ができなくなりますし、融資も受けられなくなります。事実上の倒産に追い込まれることに。ただし、一度でも不渡りを出すと信用力を失いますから、今後の経営は難しくなっていきます。

金融機関は返済を(絶対とはいえないけど)待ってもらえますが、取引先が手形ジャンプに応じてくれるとは限りません。不渡手形を出さない方法は簡単です。支払手形を出さないことです。

手形をやめて現金払いにすることは、取引先にも次のメリットがあります。

まず早期に支払ってもらえるわけですから資金繰りは楽になります。資金繰りが改善し金融機関からの借入金が減らせますから金利負担がなくなります。

次に現金払いなら不渡りのリスクがなくなりますから、リスク相当分の金利を軽減することができます。

最後に取引先は受取手形を割り引いていれば、その分の割引枠が空くメリットがありますし金利負担も減ります。

したがって、支払手形をやめることで値引き交渉がしやすくなります。仮に年間1億2千万円(月1千万円)の仕入れが発生し、支払手形が毎月1千万円発生、支払い条件が3カ月としましょう。

これをすべて現金払いにすることで、たとえ1%でも値引きが達成できれば120万円の削減ができます。

支払手形に相当する3千万円を金融機関から資金調達した場合、金利が1%なら30万円、もう少し高い2%でも60万円です。120万円の削減分と支払利息の差額が自社の利益となります。

このように倒産リスクを軽減しながら利益を出すことも可能となるのです。

お付き合いされている金融機関に、収益力改善のために資金を出してくれないか相談してみましょう。効果が大きければそれだけ収益力が改善されますから、企業と金融機関双方にメリットのある融資となります。