売上債権の回収不能に備える

不景気によって経営が悪化した企業が増加してくれば、売上債権(受取手形、売掛金)の回収リスクは上昇します。せっかく販売したのにお金が入ってこない、これからそんなことがみなさんの会社にも起こるかもしれません。

「うちの売上先に限ってそんなことはないよ」「あの有名企業〇〇だから大丈夫だよ」、そんなこと言って後で、「一番大きい売上先が倒産した。入金がないどうしたらいいのか」と相談を受けたこともありました。

損益計算書には売上高として計上されても、貸借対照表には売掛金(あるいは受取手形)のままでは何の意味もありません。損益計算書しか見ない中小企業経営者は多いのですが、貸借対照表に計上されている売掛金の回収が遅れていないかもしっかりと確認しましょう。

売上債権の回収不能に備えて

売上債権の回収不能に備えて、すぐにできること、できるにしても時間がかかること、いろいろありますが、今から対策を立てておきましょう。

1,与信管理強化

1,000万円の売掛金が回収できなかったら、それを取り戻すためにはいくら必要でしょうか。仮に利益率が20%の商品を販売しているとしたら、5,000万円の売上を獲得しなければなりません。

売上減少で悩んでいるうえに、さらに追加でこの売上を獲得するのは容易ではありません。そのためにも与信管理はしっかり行いましょう。

しかし、意外と皆さん与信管理はしていません。

日頃の取引の中でおかしなところはないでしょうか。

・経営者や経理責任者が不在がちだ
・経理責任者が突然退職した
・社員の退職が続いている
・社員から自社の愚痴や悪口をよく聞く
・同業者から悪い噂を聞くようになった

などです。

多少費用はかかりますが、帝国データバンクや東京商工リサーチ等の調査会社が提供する信用情報を参考にすることも考えられます。

帝国データバンクでは100点満点で、51点以上なら中小企業としては良い方になります。そういったところまで時々は参考にされるといいでしょう。ただ、良い評価を受けていてもすぐに倒産する可能性はあります。実際、10年ぐらい前の顧問先が51点でしたけど、半年後に倒産しましたから。

もし危険な兆候が見られたら、与信枠も設けるなどしてリスク回避をしましょう。

また、取引先の倒産・未払いに備えて売掛代金を保証するサービスがあります。それらを利用することも考えてはいかがでしょうか。

2,売上先は複数持つ

売上はぜひ1社に大きく依存しないようにしてください。事業内容によってはそうせざるを得ない事情もあるかもしれません。特に製造業だとよくあることでしょう。しかし、倒産だけでなく取引解消が発生すれば致命的なダメージを受けます。

できれば1社で30%以上依存しない方がいいでしょう。

販路開拓は簡単にできるものではありません。だからこそ余裕のある今から行動しなければなりません。当社顧問先でも日々積極的に動いて新規売上先を獲得しています。ぜひリスク分散に動いてください。

3,経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)

この公的制度は有名ですね。「経営セーフティ共済」というより「倒産防止」のほうがよく聞くかもしれません。

売上先が倒産したときに、無担保・無保証で融資を受けることができる制度です。融資ではありますが、金融機関のような審査はありません。倒産について確認が済めば融資を受けられます。

自社で決めた掛金、月額5,000円~200,000円を支払うことによって、回収不能額か払込掛金総額の10倍のうち、いずれか少ない方の金額の融資を受けられます。払込限度は800万円なので融資限度額は8,000万円となります。

しかし、この制度にも欠点があります。

夜逃げのような場合には対象外ということです。売上先が倒産していなくても、一時貸付金によって融資を受けられる制度はありますが、掛金総額以内なので注意が必要です。

4,その他

売上債権の回収不能に対応するためには、金融機関から融資を受けて資金繰りに余裕を持たせておく考えもあります。回収不能額が大きければ金融機関は融資に慎重になりますから。余計に利息支払いは発生しますが、保険料と考えることもできます。

また、最近利用が増えているファクタリングは、買取手数料がやや高いものの、債権の買い取りなので売却すれば回収不能リスクから解放されます。検討することはできるでしょう。

経営者・従業員そしてお客様のため

売掛金の管理・回収は必ずやらなければなりません。それはいうまでもなく、自社を維持していくために必要なことだからです。売掛金を回収した資金で、仕入や外注、諸経費の支払い、借入金の返済をすることができるわけですから。もし回収できなければ手持ちの資金で負担せざるを得なくなります。

そんなことをしていたら自社の経営を不安定なものにしますし、場合によっては即倒産になるかもしれません。倒産はしなかったとしても、仕事を一生懸命したのに回収できなければ、モチベーションの低下にもつながります。

あまり強い姿勢で督促をすることができない経営者は多いようです。当社もそうです。かなり資金繰りの苦しい顧問先は何社かありますから、そういう先に対しては正直言いづらいときがあります。経営や資金繰りの改善をお手伝いしていますから、苦しいのがよく分かってしまうだけに余計言いづらいのです。

しかし、それでも電話連絡や再度請求書を郵送するなどして、売掛金の回収をやらなければなりません。

自社を守ることは経営者や従業員のためだけではありません。今のお客様、そして将来のお客様に自社の商製品やサービスを安定して提供し続けるためでもあるのです。

銀行や税理士事務所等で勤務した経験を活かし、経営者の右腕・参謀として資金繰りや経営改善、銀行取引についてご支援します。相談できるコンサルタントや専門家がいなければいつでも連絡してください。

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