資金繰り

売上債権の回収不能に備える

2021-05-27

コロナウイルスによる緊急事態宣言によって、飲食業に限らず様々な業界に影響が出ています。今日ご連絡を下さった経営者さんはイベント業でしたし、外出自粛で商品が売れない、それを製造している企業にも影響は波及しています。

それだけ経営が悪化した企業が増加するわけですから、売上債権(受取手形、売掛金)の回収リスクは上昇します。せっかく販売したのにお金が入ってこない、これからそんなことが起こるかもしれません。

「うちの売上先に限ってそんなことはないよ」「あの有名企業〇〇だから大丈夫だよ」、そんなこと言って数カ月後、「一番大きい売上先が倒産した。入金がないどうしたらいいのか」と相談を受けることもあります。

売上は計上したら終わりではありません。売上債権がお金になって完了です。

できること、できるにしても時間がかかること、いろいろありますが、今から対策を立てておきましょう。

■与信管理強化

1,000万円の売掛金が回収できなかったら、それを取り戻すためにはいくら必要でしょうか。仮に利益率が20%の商品を販売しているとしたら、5,000万円の売上を獲得しなければなりません。

売上減少で悩んでいるうえに、さらに追加でこの売上を獲得するのは容易ではありません。そのためにも与信管理はしっかり行いましょう。

しかし、意外と皆さん与信管理はしていません。

日頃の取引の中でおかしなところはないでしょうか。

・経営者や経理責任者が不在がちだ
・経理責任者が突然退職した
・社員の退職が続いている
・社員から自社の愚痴や悪口をよく聞く
・同業者から悪い噂を聞くようになった

などです。

多少費用はかかりますが、帝国データバンクや東京商工リサーチ等の調査会社が提供する信用情報を参考にすることも考えられます。

帝国データバンクでは100点満点で、51点以上なら中小企業としては良い方になります。そういったところまで時々は参考にされるといいでしょう。ただ、良い評価を受けていてもすぐに倒産する可能性はあります。実際、10年ぐらい前の顧問先が51点でしたけど、半年後に倒産しましたから。

もし危険な兆候が見られたら、与信枠も設けるなどしてリスク回避をしましょう。

■売上先は複数持つ

売上はぜひ1社に大きく依存しないようにしてください。事業内容によってはそうせざるを得ないこともあるかもしれませんが、コロナによる倒産だけでなく取引解消が発生すれば致命的なダメージになります。

できれば1社で30%以上依存しない方がいいでしょう。

今はコロナ禍で売上先の開拓は簡単に進まないかもしれません。しかし、当社顧問先の中には積極的に動いて新規売上先獲得に成功しています。

収束してからでもぜひリスク分散に動きましょう。

■経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)

この公的制度は有名ですね。「経営セーフティ共済」というより「倒産防止」のほうがよく聞くかもしれません。

売上先が倒産したときに、無担保・無保証で融資を受けることができる制度です。融資ではありますが、金融機関のような審査はありません。倒産について確認が済めば融資を受けられます。

自社で決めた掛金、月額5,000円~200,000円を支払うことによって、回収不能額か払込掛金総額の10倍のうち、いずれか少ない方の金額の融資を受けられます。払込限度は800万円なので融資限度額は8,000万円となります。

しかし、この制度にも欠点があります。

夜逃げのような場合には対象外ということです。売上先が倒産していなくても、一時貸付金によって融資を受けられる制度はありますが、掛金総額以内なので注意が必要です。

■その他

売掛金の回収不能に対応するためには、金融機関から融資を受けて資金繰りに余裕を持たせておく考えもあります。回収不能額が大きければ金融機関は融資に慎重になりますから。余計に利息支払いは発生しますが、保険料と考えることもできます。

また、売上債権を保証するサービスを提供している企業もありますし、ファクタリングは買取手数料がやや高いですが、債権の買い取りなので売却すればリスクから解放されます。検討することはできるでしょう。

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代表 瀬野正博

中小企業の経理部長・経営者の右腕として、経営改善、資金繰り安定、銀行との良好な融資取引、経理業務のサポートを行っています。このブログでは、中小企業経営者向けに資金繰りや経営改善・銀行融資に関する情報を発信しています。

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