都市銀行の中でも、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行はメガバンクとも呼ばれ、大手企業から中堅企業を主な取引対象としています。もちろん、中小企業でも預金や融資取引はしてくれます。
何となくメガバンク
中小企業経営者の中にはメガバンクとの取引をしたがる方がいます。取引があるといっても普通預金口座だけなのですが、「俺の会社は三菱UFJ銀行がメインバンクだ」と言いたいのでしょう。自分の会社が大きく立派な会社に見せたいというお気持ちは理解できます。
そこまでメガバンクにこだわる経営者は昔に比べると減ってきましたけど、テレビ広告や駅前で良く見かける影響もあるため、起業してから金融機関との取引はメガバンクのみという中小企業は少なくありません。
大きい銀行の方が、信用金庫等の中小金融機関よりも自社にメリットがあるように何となく感じるのかもしれません。メガバンクとの取引を希望する中小企業は意外と多いです。
メガバンクは中小企業を歓迎していない
ただ、メガバンクは正直なところ、中小企業と積極的に取引をしたいとはあまり思っていません。
今後大きく成長することが十分見込まれる、財務内容が極めて良好等の企業ならいいでしょうが、そうでないのならあまり歓迎はされていません。
地方銀行は各都道府県とその周辺を、信用金庫・信用組合はより狭い営業エリアを対象としていますが、メガバンクは全国というか世界が対象です。国内の中小企業では融資額が小さいので得られる利息収入は少ないし、ハイリスクになることも多く、積極的に融資を行うメリットはないのです。
さらに経営が悪化した場合の対応も、メガバンクと地域金融機関(地方銀行、信用金庫、信用組合)では支援姿勢に差があります。
地域金融機関であれば、少なくとも返済条件の変更ぐらいはすぐに対応してもらいやすいと思います。しかし、メガバンクは最終的に対応してくれるにしても最初は拒否して来たり、リスケなんて面倒な事には関わりあいたくない姿勢が明らかなことが多い。
預金口座を作るのだって積極的ではありません。1週間から2週間程度は審査が必要なのが普通です。何とか付き合わないように仕向けているともいえるでしょう。
このブログでも以前どこかで書いたと思いますけど、顧問先企業が赤いメガバンクまで口座開設に行きました。
銀行員「当行では審査に1週間頂いています」
社長「そんなにかかるんですか。博報堂さんから早く口座作って、口座番号とか教えてと言われているんです」
銀行員「博報堂さんと取引があるんですか?」
社長「ええ」
銀行員「それを証明する何か書類とかありますか」
社長「これです」
銀行員「まあ、審査といっても形だけですから。御社なら大丈夫だと思います」
そして、1週間と言ったくせに、銀行を出てから1時間もしないうちに「口座開設大丈夫です」と連絡がありました。
中小企業は地域金融機関をメインに
経営が順調ならメガバンクは強い味方になるでしょうが、調子が悪くなった時はそうでなくなることが多いので注意してください。
先ほども述べたように、地域金融機関とメガバンクでは、地元中小企業の支援にはどうしても対応に差が出てきます。
メガバンクとの取引に憧れる気持ちは分かります。しかし、いざという時は引くのも早く積極的な支援が得られないことも多いので、無理して融資取引するメリットはないと思うのです。
自社の企業規模が大きく多額の融資が必要である、メガバンクの口座があった方が顧客が振り込むのに都合がいい、あるいは海外取引があるため等の明確な理由があるなら良いと思いますが、融資取引についてはメガバンクは原則外した方がいいでしょう。