歩積・両建預金

銀行融資

歩積・両建預金とは

歩積・両建預金(ぶづみりょうだてよきん)とは、金融機関の要請により企業が自らの意思に基づかずに預ける預金のことです。

例えば、
・手形割引を実行したが、不渡りとなっても買い戻しできるよう一部を預金に残しておく
・融資された資金の一部で作られる拘束性預金
・融資前に受け入れられた定期預金や定期積金で、融資後満期が来ているにもかかわらず、拘束性の預金となっているもの

このように融資に関連して何らかの形で預金が拘束されていることをいいます。

特に業歴の長い企業の経営者さんなら「ご融資いたしますので、そのうちの一部を定期預金として置いてください」とお願いされたことあるかもしれません。それです。

金融機関からすると、いざという場合に備えておきたいのと、実効金利(実質金利)の引き上げにつながります。

現在はこんな高金利ありませんが、分かりやすくするため1,000万円を3%で融資し、うち200万円を金利1%の定期預金にしたとします。

すると、実質3.5%の金利で融資を受けていることになるのです。

実行金利=1,000万円×3%-200万円×1%/1,000万円-200万円=3.5%

金融機関は200万円手元に置きながら、1,000万円分の利息収入を得ることができますから、融資額の一部を預金すると、金融機関はより高金利で融資したのと同じ効果があるのです。融資条件以上に儲かるし、いざという場合は回収もできる、金融機関にとっては良いことだらけです。

本来、融資によって得たお金は全額、融資申込時に説明した資金使途に使うことができます。しかし、「貸してください」とお願いする立場の中小企業ですと、このような依頼があると「拒否して融資がでなかったらどうしよう、それなら相手の要求を呑んだ方がいい」となってしまうことがあるでしょう。

そのようなことから、過度な歩積・両建預金は、金融機関の優越的な地位の汎用にあたり、独占禁止法に違反する不適切な取引として行ってはならないとしているのです。

先週、東日本銀行が金融庁から処分を受けましたが、その原因の一つにこれがあったということでした。

東日本銀行だけではありません。5年位前ですけど、A信用金庫は、融資がすべて保証協会の100%保証付きで、金融機関は保全がしっかり取れているのに、積立預金が満期になったら定期預金にして使わせないようにしていました。

歩積・両建預金は断りましょう

「歩積・両建預金を要求された」、「過去に要求されて、今も歩積・両建ての定期預金がある」ということがあったらぜひ断ってください。

ひどい場合は、「過度な歩積・両建預金は禁じられているはずだ、金融庁に確認してみる」と言ってみましょう。

せっかく融資を受けて、その資金で商品や材料を仕入れて、販売し利益を出して返済していくのに、定期預金した分だけそれができない上に、余計な金利まで払う羽目になります。ぜひ応じないでください。すでに応じてしまっていたら「使わせてほしい」とまずはやんわりと伝えてください。