債務超過には冷たい銀行

銀行融資

企業への融資審査で大きな影響を与えるのが決算書です。決算書のうち貸借対照表と損益計算書は財務分析の中心となります。

債務超過を嫌がる金融機関

損益計算書なら営業利益や経常利益が計上されているかが重視されます。

そして貸借対照表でしたら、特に純資産がマイナスいわゆる債務超過の状態では、手持ちの資産をすべて資金化しても負債が整理できない状態にあるわけですから、審査上かなり不利になります。

債務超過とは、貸借対照表の右下にある純資産の部(自己資本)がマイナスの状態をいいます。

純資産は資本金や繰越利益(これまでの利益)等が計上されている部分です。ここがマイナスということは、これまでの赤字が資本金を上回っているということです。

過去の経営結果である決算書だけで評価せず、企業の事業継続性も評価することが求められているのですが、それでもやはり一番重視される箇所でしょう。

金融機関も決算書という過去の結果だけを見て判断せず、企業の事業内容や将来性を評価した審査を行うケースも増えてきましたから、以前に比べれば債務超過の企業でも融資を受けられるケースは出てきました。実際、当社の顧問先でそんな財務内容でも融資を獲得した企業はあります。「融資して大丈夫なの?」とこちらが心配になる事もあります。

それでも、財務内容に問題の無い企業よりも審査のハードルは非常に高くなります。それに、金融機関の中には依然としてそんな手間がかかる企業への融資を敬遠するところもあります。決算書を見て債務超過というだけで直ちに門前払い、今後の見通しが明るいので資料を作って説明をしようにも聞いてさえくれない、そんなご相談というかご不満も聞くのです。

みなさんがお付き合いしている金融機関はどうでしょうか?

プロパー融資は無理でも、信用保証協会と協調して融資をしようと交渉してくれたり、せめてリスケジュールの提案ぐらいはしてくれたりしますか。

債務超過解消を示す

金融機関からの資金調達は不要であったとしても、債務超過の状態は経営的には正常とはいえません。債務超過が数年間で解消できるよう、直ちに業績が回復するよう経営改善しなければなりません。ただ、早期に大きく改善するケースは少ないでしょう。そんなときは具体的な経営改善策や数値計画を金融機関に提出する必要があります。

自社の経営の数年先を考えてみる必要があります。これまで売上や利益が減少傾向にあり、その流れが今後もしばらくは続きそうなら、資金繰りに余裕のあるうちに経営改善計画の策定と実行を行ったほうが自社の再生可能性は高いですし、金融機関との交渉もやりやすくなります。ぜひ3年から5年程度先も考えて経営してみてください。

それと、すべてではないのですが、一部の大手地方銀行との取引は、自社の経営が好調で協力姿勢にある時は頼もしいのですが、逆の場合は自社の経営の足を引っ張る事も珍しくありません。大手銀行ばかりの取引を見直す、中小企業支援に積極的な金融機関と付き合うことも必要です。