りそな銀行は企業の財務諸表や預金口座を出入りするお金の流れから、粉飾決算検知システムを開発しました。完璧ではなかったとしても、行員の粉飾決算を見抜くサポートにはなるでしょう。
日本経済新聞 2021年6月3日 りそな 粉飾決算検知システム 企業財務を素早く分析
コロナウイルス感染症が拡大した頃は、売上減少がコロナ融資の条件であったため、実際の数字で決算書を作成するでしょう。1年間コロナの影響を受けたことが原因で決算内容が悪くても、金融機関もそれは理解を示すと考えられます。
しかしその後、売上の回復が遅れていれば、業績回復を装うために粉飾に手を出すことが考えられます。というかやってしまう企業は確実に増えます。
業績が大きく悪化しそれを粉飾で隠そうとすれば、多額の架空売上計上や在庫水増し等をするので見つけるのは比較的容易です。
ただコロナとは関係なく、長期に渡って少しずつやられてしまうと発見が難しいかもしれません。
金融機関は、決算内容が良好だと思って融資を続けていたら、実態はとんでもない内容だったというのを避けなければなりません。多額の不良債権発生を避けたいですから。
能力のある銀行員がしっかり時間をかけて分析すれば発見できるにしても、そんな余裕はないかもしれませんから、こういうシステムは需要があるとは思います。
記事にありますが、不適切な会計処理が発覚した上場企業は、2020年には60件にのぼり、そのうち粉飾決算は4割にあたる24件でした。当然、中小企業ではこんな数ではありません。
企業が粉飾決算を金融機関に伝えても、今のところ新規融資は無理でもリスケジュールには応じてくれていますが、これからは粉飾が疑わしい、あるいはバレてしまった企業への厳しい対応が増えるのかなと思います。すでにそういう話も聞きますし。
粉飾決算の問題点は、発覚すれば信用を失うだけではありません。まとまった資金が調達できると、それに安心して自社の経営改善が遅れることが多い。その資金で経営を立て直してくれればいいのに、経営者もちょっと落ち着いてしまうのでしょう。なぜか本当に多いです。それで資金が底をつくとまた粉飾をするのです。その結果、自社の能力を超えた借入金残高になってしまいます。
すでに多額の借入金残高になっていれば、それに見合った利益を無理に出そうとするので、法人税や消費税がかなり高額になってしまうこともあります。粉飾して納税したのに融資が出なければ最悪ですよ。
未だに「融資を受けたければ粉飾決算をしなさい」とアドバイスする似非専門家がいます。確かにそういう場合だってあるかもしれません。しかし、そのアドバイスの真の狙いは何だと思いますか。粉飾により調達した資金で、専門家の高額な顧問料を支払わせることです。これは結構あることですから注意してください。