ダメ銀行員が自社の担当になることも

銀行員 銀行融資

金融機関の担当者は数年で異動してしまいます。

「せっかく良い関係になったのに」、「当社の事をよく理解してくれるようになったのに」というタイミングでの異動が多いので、良い担当者との別れは寂しいものです。

担当者が優秀とは限らない

次の担当者も前任者と同じような方だといいのですが、残念ながらそうでないことがあります。長年、経営者をやっていればがっかりするような担当者に当たってしまったことが一度はあるでしょう。一流大学は出たといっても優秀な行員とは限りません。例えば次のような方です。

融資が苦手

金融誌を発行している会社の方から、最近は決算書も読めない銀行員がいると聞いたことがあります。ネットでもそのような記事を読んだ事があります。ただ、そういう銀行員は昔からいたものです。

若手で経験が浅いために能力が多少低いのは仕方がないでしょうが、そもそも融資が苦手な人はいます。

これは私が勤めていた時の話ですが、異動する先輩から「○○さんから運転資金の申込があるから後はお願いね」と言われて翌日行ったところ、社長から「何の事?」と言われました。

私が「△△から聞いたのですが」というと、社長は「ああ、それ半年も前の話だよ。△△さんはいつまでも対応してくれないし、返事もくれないから、他の銀行から借りたよ」と言われてしまいました。

そこで稟議書ファイルを見たところ作りかけの書類がありました。作りかけといってもほとんど空欄で、どう書いたらいいのか分からずずっと抱えたままだったのです。

他の銀行でもそういう話を時々聞きますから、有名大学を出て本部などでしっかり研修を受けたけど、やっぱり融資が苦手という銀行員はいるのです。

返事が遅い

融資が苦手な銀行員がいるというお話をしましたが、この例のもう一つの問題は返事が遅かったということでしょう。

融資が苦手でも上司や先輩の指導を受けながら稟議書を完成させることはできます。しかし、融資が得意でも忙しい等の理由で案件を放置してしまう銀行員が少ないですけどいます。

昨年、顧問先がこれをやられました。これまでは特に問題もなく丁寧に対応してもらっていのですが、やや借入金残高が増加しており、信用保証協会の保証だけでなくプロパー融資も必要になってきました。つまりこれまでよりもやや難易度の高い融資案件になったのです。

そうしたらいつまで経っても回答がもらえず、他行から急いでプロパー融資で調達しました。

この件は資金調達できたからいいですけど、仕入等支払いに間に合わなかったら大変なことになります。

ただ、融資を申し込んでから承認が出るまでの日数ですが、それは各案件によって異なります。

金融機関からお願いされる企業であれば、特に担保や信用保証協会も不要でしょうから、書類さえ整っていれば数日で実行されるでしょう。

そうでない場合、かつ信用保証協会の保証も必要なケースであれば、2週間程度かかるかもしれません。初めて融資を申し込むのなら1か月近くかかるかもしれません。ただ、この日数は大まかな目安と考えてください。

対応策

性格が合わない程度は多少我慢すればいいですけど、自社の経営を危うくするような担当者なら、できれば別の行員に担当して欲しいと思うでしょう。

しかし、怒鳴りたくなるようなことがあったとしても、あまり攻撃的な姿勢にはならない方がいいです。

落ち着いて担当者の上司に迷惑を被っている事実を伝えましょう。何らかの対応をしてくれるはずです。異動等の目に見える形での対応はしてくれなかったとしても、担当者がまた問題を起こさないか上司が監視をしてくれるようにはなるはずです。

あまり感情的な言動を行うと、その担当者を庇うような対応をすることもありますので、そのほうが効果はあると思います。

融資は担当者の上司にも相談する

資金調達は企業にとって極めて重要なことです、不安なら担当者だけでなく上司にも伝えましょう。支店に行ったついでに「△△さんに融資の件、相談したのでよろしくお願いします」だけでもいいでしょう。

もし上司と面識がなければ、一度紹介してもらってください。

進捗状況をこまめに確認

定期的に進捗状況を確認しましょう。融資を申し込んでから1週間程度したら、今回の案件について問題はないか、企業への質問はないか、そして追加で必要な書類はないかを聞いてみましょう。

連絡があれば、現時点での状況を説明してくれるはずです。

ただ、頻繁に状況説明を求めたり、早く回答を求めたりするのは控えましょう。資金繰りに困っているから融資を申し込んでいるのですが、あまりにも焦っている印象を与えます。すでに取引があるのならまだしも、初めて融資を申し込んだ金融機関では避けるようにします。

複数行と取引

複数の金融機関と取引をしておきましょう。そうすれば他行で優秀な担当者と付き合っていくことができます。担当者に関係なく金融機関からの資金調達が必要な企業であれば、必ず複数と取引してください。

いつか優秀な担当者が来ると思って

担当者は定期的に異動します。ダメ担当者が来てしまっても次は優秀な行員が担当してくれると期待して待ちましょう。

腹の立つことがあっても取引解消といったことはしないでください。次の担当者が来るまで現状維持で付き合っていきましょう。