無視できない信用調査会社の評価

中小企業経営

先週お会いした経営者さんは、自社の帝国データバンクの評価が異常に低いことを気にされていました。何点か聞いてみると本当に低い。

最近の試算表を拝見すると、確かに貸借対照表は大幅な債務超過だしめちゃくちゃ悪い、安全性は非常に低いです。しかし損益計算書を見ると好調で債務超過も解消しそうな勢いです。

その経営者さんが信用調査会社の評価を気にするのも理解できます。というのも最近、当社顧問先が低評価の影響を受けてしまったからです。

事務所移転に伴うちょっとした内装工事が数万円だったそうなのですが、工事会社から「おたくの評価が低いので前払いでお願いします」と言われてしまったそうです。社長はたった数万円でも信用してもらえないことがショックだったようですし、今後仕事を依頼してくる企業もそうやってチェックして仕事を出してくれなくなるのではと心配のようでした。

ちなみにその顧問先さんは、毎月数百万円利益を出しているし、手持ちの現預金もしっかりある企業です。

金融機関も帝国データバンクの評点を参考にして新規開拓をしています。多くの銀行は50点以上なら積極的に訪問、信用金庫のようにやや規模が小さい金融機関は45点以上と対象範囲を広げていることが多いです。だからもしみなさんの会社が低評価なら営業に来てくれないかもしれません。

これだけ企業や金融機関で広く利用されると無視することはできません。この評価を変えるには、経営で結果を出す、情報を積極的に公開することが中心となるでしょう。節税は成功してもやり過ぎて赤字なら評価は下がりますから、決算対策は銀行融資や信用調査会社のことも考える必要があります。

情報が全くない、自分には知識がないなら信用調査会社の評点に頼らざるを得ないでしょう。私たちも普段、どこの飲食店に行くか考えた場合、どこでもいいとなったら食べログで点数の高いところにしておけば失敗は少ないだろうと考える方が多いはずです。

実際は50点以上でもすぐ倒産する企業なんていくらでもあるし、それは帝国データバンクが調査した時と現在では時間差がありますから仕方がないことです。

したがって、みなさんは評点だけで判断はしないで欲しいと思います。新たに取引を開始する企業ができた場合、相手先に関する外部評価を確認するにしても参考程度にして、最後は自分の目で確認するようにしましょう。経営者との面談や会社を訪問した際の雰囲気も参考になります。評点が良くても安心しない、悪くても直ちにそれだけで取引するに値しない企業だと判断はしないようにしてください。