赤字でも存続する企業

中小企業経営

決算書は赤字よりも黒字のほうが当然いいですが、黒字なら利益が資金化されて返済や、手持ち資金の充実、新たな投資に回すことができます。赤字ではそれらができないことになります。したがって、金融機関は赤字にはあまり良い評価をしません。では赤字の企業は、今後の事業継続が難しいのでしょうか、もう経営を諦めた方がいいのでしょうか。

赤字といってもその原因はいろいろあります。

例えば
1、一過性の赤字
例えば、「台風などの災害で被害を受け特別損失を計上して赤字になった」。この場合、結果は一時的にその期は赤字になっても、収益力が落ちたわけではありません。また創業時で多額の経費が先行発生したことで赤字になった場合でも、一過性の赤字といえるでしょう。

2、キャッシュフローはプラス
営業利益が赤字になっていれば、本業で利益を獲得できていないことになります。しかし、減価償却を実施しているのでしたら、減価償却費を合算して返済能力を計算してみましょう。

簡易の営業キャッシュフロー(営業利益+減価償却費)がプラスであるなら、本業での継続性はあることがわかります。

3、高額な役員報酬
税務調査に来られたくない、あるいは経営者個人に資金をシフトしたいとの考えから、役員報酬を高額に設定していることがあります。その結果、損益計算書は赤字にはなってしまいます。しかし、例えば毎月100万円としても実際には50万円だけしか取っていないこともあります。

あるいは一旦100万円は取るけどすぐに50万円戻す(差額は未払金や役員借入金に計上する)こともよくあります。決算書は赤字になってもそれでキャッシュがプラスとなるなら、事業継続に関しては問題ないでしょう。

では上記1から3いずれにも該当しないのに赤字だとしたら、金融機関の金融支援は無理なのでしょうか、事業継続を諦めなければならないのでしょうか。

確かに赤字が続いていたらそうかもしれません。何もしなければこのまま倒産となるでしょう。しかし、これから黒字になり事業継続できる見通しがあるかがカギとなります。

取扱商品やサービスは他社よりも優位性がなく、赤字解消の見通しがまったく立たないなら廃業を選ばないといけないかもしれませんが、事業継続が可能そして成長性が見込める強み・能力が自社にはあるかを社内で検討してみることが必要です。

当然、金融機関が金融支援するには、それらがあるかどうかが審査上重要となります。そうでなければ融資しても返済してもらえませんし、リスケジュールをしても無駄になってしまいますから。

自社の問題点や課題を認識し、自社の強みというかお客様から評価されるところはどこか、そこから経営改善策を策定して、継続かつ将来の成長が見込めることを説明できれば、プロパー融資は無理でも保証協会付き融資や日本政策金融公庫による支援、リスケジュールによる金融支援の可能性は十分にあります。

それと経営改善計画書を作っただけで、今までと同じように経営している経営者が本当に多いです。改善するという経営者の強い意欲が大切です。計画を策定した経営者自らが主体的に行動している中小企業は、経営改善の速度が速いです。そうでない企業は多少延命できたとしても、そんな遠くないうちに廃業となることが多いものです。