「御社のメインバンクはどこですか?」と聞かれたとき、即座に答えられるでしょうか。また、その金融機関は、いざという時に最後まで守ってくれる確信があるでしょうか。
経営を安定させるためには、単に融資を受けるだけでなく、強固な信頼関係で結ばれた「メインバンク」の存在が不可欠です。今回は、メインバンクの定義から、金融機関に「この企業は守るべきだ」と思わせる付き合い方の秘訣までを解説します。
メインバンクとは何か
「一番多く借りているからメインバンクだ」と単純に考えるのは危険です。金融機関側が自社をどう見ているか、そして自社が金融機関をどう位置づけるかという「定義」が重要です。
融資残高と「シェア」が持つ意味
一般的に融資残高が最も大きい金融機関がメインバンクとみなされますが、重要なのはその「シェア(比率)」です。2位の金融機関と僅差ではなく、圧倒的なシェア(例えば40%以上など)を持ってもらうことで、金融機関側に「この会社に何かあれば、うちが責任を持つ」という当事者意識が生まれます。
「プロパー融資」で向き合っているか
信用保証協会の保証付き融資は、万が一の際に信用保証協会が代位弁済(返済不能となった企業に代わって金融機関へ返済すること)してくれるため、金融機関のリスクは低くなります。一方で、金融機関が自らリスクを負う「プロパー融資」を積極的に実行しているかは、メインバンクとしての「覚悟」の証といえます。
いくら借入金残高が大きくても、信用保証協会の保証付きばかりでは、いざというときに逃げる可能性が高いです。しかし、プロパー融資も適度にあるとしたら、最後まで面倒を見るということです。
事業内容を深く理解している「理解者」であるか
本当のメインバンクとは、借入金残高のシェアが大きく、適度に自行でもリスクを負っていることが条件となります。さらに決算書の数字だけでなく、企業の事業内容、企業の強み、経営者の経営資質や想いを最も深く理解している存在であることが不可欠でしょう。
メインバンクとの正しい付き合い方
信頼関係は、一方的に支援を求めるだけでは築けません。金融機関にとっても「魅力的な取引先」「地域や雇用維持のためにも支援すべき取引先」である必要があります。
メインバンクにふさわしい取引をする
預金取引や振込手数料などでも、メインバンクにメリットのある取引姿勢を見せましょう。また、信用保証協会の保証枠も、融資シェアに見合った適切な配分を心がけることが大切です。「保証枠を渡すからプロパー融資も出してください」という付き合い方です。
相談は必ず「一番最初」に
新しい設備投資や融資の相談、あるいは経営上の悩みが生じたとき、必ず最初にメインバンクへ相談してください。他行で話が決まった後に「報告」だけをするのは、メインバンクのプライドを傷つけ、信頼関係を大きく損なう原因になります。
情報の積極的な開示(ディスクロージャー)
金融機関が最も嫌うのは「不透明さ」です。企業が持つ自社の情報量と、金融機関が持つ情報量に差があるのを嫌がります。
こちらから積極的に情報を開示することで、金融機関の担当者は稟議書を書きやすくなります。次のような付き合い方が理想的ですし目指すべきです。
- 期首:経営計画書の提出
今期の予想損益計算書、貸借対照表、資金繰り予定表を提出し、どのような経営改善を行うか共有します。資金繰り予定から、これからの借入予定も伝えましょう。
- 期中:進捗状況の報告
計画に対しての実績、発生している課題、それに対する対策を3か月に1回は報告します。
- 期末:決算予想と報告
決算が確定する前に着地予想を伝え、完成後は速やかに決算報告会を行います。
特に「悪いニュース」ほど早く伝えることが、結果として金融機関からの信頼を勝ち取る最短ルートになります。金融機関はそれに対してどう対処するのかが知りたいのです。
メインバンクにふさわしいか見極めよう
普段は「最後まで支援します」と言いながら、業績が悪化した途端に手のひらを返す金融機関も残念ながら存在します。次のような時に頼りになる存在か、日頃の付き合いから注意しておきます。
「いざという時」の防波堤になれるか
業績が悪化した際、メインバンクが「うちは支援を継続する」という姿勢を明確に打ち出すことで、他のサブバンクも追随しやすくなります。メインが逃げ腰になれば、他行は一斉に資金を引き揚げにかかります。
返済猶予(リスケ)のリーダーシップ
税金や社会保険料は支払いを待ってくれませんが、金融機関(特にメイン)は、しっかりとした再建計画があれば、数ヶ月から数年単位で返済を待ってくれる可能性があります。「今は返済を止めてでも、事業を継続させることが最優先だ」という苦しい局面で、リーダーシップを発揮してくれるかが、メインバンクの真価です。
まとめ:メインバンクは経営の重要なパートナー
メインバンクとの関係は、一度作れば終わりではありません。日々の誠実な情報開示と、相手(金融機関)の立場に立った取引を通じて、共に成長していくパートナーシップを築くものです。
「雨の日に傘を取り上げない」だけでなく、「小雨程度なら傘を貸す」「一緒に雨をしのぐ方法を考えてくれる」——そんなメインバンクと共に、強い財務基盤を作っていきましょう。
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