金融機関との交渉を丸投げしたい

銀行融資

金融機関との融資交渉、これは経営者がやらなければならない重要な仕事です。経理担当社員から「社長が融資を受けたいと言っています」と言われても、金融機関担当者は経営者から希望する金額や資金使途、そして返済原資を確認します。

交渉を丸投げしたい経営者

資金が底をつけば企業は経営を継続することはできませんから、経営者なら資金繰りを管理し金融機関と交渉もしなければなりません。しかし、交渉が苦手という方もいます。

お願いする立場だからやりたくない

経営が好調な時の金融機関との交渉は企業が有利な立場にあります。多くの書類提出も求められないでしょうし、申込みから実行まではそう時間はかからないでしょう。しかし、企業が経営悪化に陥り不利な立場で金融支援を求めれば、日数を要しますし書類もいろいろ求められます。場合によっては厳しいことを言われるかもしれません。

経営者の一部はプライドが許さないのか、人に頭を下げるのを避けたい方がいます。

そこまででないにしても、金融機関との交渉が面倒くさいと当社のような資金繰りを支援するコンサルタント会社に交渉を依頼、できれば丸投げしたいと考えるのも理解はできます。

融資交渉を代行する専門家

しかし、やはり金融機関との交渉は経営者がすべきですし、当社が代行することはできません。なぜなら、弁護士でもない者が交渉して報酬を得ることは非弁行為として禁止されているからです。

あくまで交渉するのは経営者で、当社も同席し補助する立場であればいいのですが。

時々、コンサルタント等で交渉をすべて請け負うと言っている方がいます。名刺を作って顧問先の従業員として対応するという方もいます。それは法律的に問題があると当社は考えています。

それに資金を借りる立場の経営者が前面に出るべきです。交渉を代行するのが法律上問題ないとしても、みなさんが知り合いや取引先にお金を貸して、返済ができないからと私が交渉にやって来たらどう思いますか。おそらく「お前じゃ話にならない、本人が出てこい」と思うでしょうし、本人の口から今後についての説明を聞きたいはずです。

それは金融機関も一緒です。

金融機関が聞きたいのは経営者の説明

初めてであったり、業績が悪い中での金融機関との融資交渉は、全く緊張しないで対応できる方もいますけど、不安になったり緊張する方もいます。

「借りてください」と言われているのなら審査が通る可能性は高いでしょうし、少なくとも厳しいことは言われないでしょう。しかし、特に返済ができなくなりリスケジュールをお願いするとき、相当厳しい対応を受けるのではとかなり不安になるものです。リスケジュール中であるにもかかわらず、経営改善の効果が数字で確認できなければいろいろ口を出してきますから。

リスケジュールにおいては経営改善計画書を提出しその内容に同意してもらう時、そして計画の内容通りに改善しなければ、なおさら担当者との面談から逃げ出したいと思うでしょう。

経営者からの説明を直接聞きたい

しかし、金融機関の担当者はコンサルタント会社などではなく経営者から直接説明を聞きたいのです。

そもそも資金繰りという大切な交渉において、他人に任せるような経営者を金融機関は信用できません。

融資を受けたいのなら「必要額、資金使途、いつまでに資金が必要か、どのように返済していくのか」、リスケジュールなら「今後の返済額をいくらにしたいのか、経営改善の具体策(どのように売上を増加させるか、経費を削減していくのかなど)、いつ頃から返済を再開できるのか」、これは経営者が言わないとダメです。

あくまでメインで交渉するのは経営者であり、外部専門家は交渉のサポートをするのが役割です。例えば、決算書や試算表が読めない経営者でも売上高や利益額は分かると思いますが、細かい部分は理解できないなら専門家が説明を補助できます。

経営改善計画書ならこれから実施する具体的な改善策については経営者が説明し、数値計画の細かい部分については専門家が担当することができます。

以前は外部専門家が同席することを嫌がるケースも多かったのですが、最近は少なくなってきました。もし金融機関から「最初は社長と二人で話をさせてください」と言われたとしても、後で同席させてもらえる機会を頂けるはずです。

慣れるしかありません

自社の商品やサービスについてはもちろん詳しいのですが、どうしても数字が苦手な経営者が多いですし、人前で話すことに慣れていない方もいます。

自社の数字について最低限のこと、例えば売上高や利益額(率)程度は覚えている必要がありますが、経営者は事業内容や業界について自信を持って説明してください。金融機関よりも詳しいのですから。

計画書作成も難しいし面倒ですが、逃げずに取り組めば自信を持って金融機関と交渉できるでしょう。

最初に申し上げたように、金融機関担当者は経営者の説明を聞きたいのです。それは下手でも、ぎこちなくてもかまわないのです。