事業性評価資料の作成

私は平成17年(2005年)からコンサルタントとして中小企業の支援をしています。その頃は今以上に融資審査の中心は決算書であり、(金融機関によって差はありますが)大手銀行なら100%近く、信用金庫でも70%以上は決算内容が占めていました。赤字や債務超過でも信用保証協会の保証が出ればいいけど、そうでないなら「決算書が良くなったら来てください」なんて言われることもありました。だから今以上に「粉飾決算を手伝ってください」という依頼が多かったです。

その頃に比べると現在は大きく変わりました。2014年6月に閣議決定された「日本再興戦略」の中の「日本産業再興プラン」の一つに「地域金融機関等による事業性を評価する融資の促進等」が盛り込まれました。金融機関には企業の事業性を評価した融資を行うよう、国の方針が出されたのでした。

そして、金融庁は2014年9月に公表した「平成26事務年度金融モニタリング基本方針」に「事業性評価に基づく融資等」が盛り込まれました。その中で「金融機関は財務データや担保・保証に必要以上に依存することなく、借り手企業の事業の内容や成長可能性などを適切に評価し(事業性評価)、融資や助言を行い、企業や産業の成長を支援していく事が求められている」と明記されたのです。さらに個別の融資先に対する評価も、各金融機関の判断に委ねるルールが導入されました。

これまでと違い、財務データ以外の面からも企業を評価して融資をしやすくなりました。それによって、債務超過でも融資が出る可能性は増えました。ただ、債務超過は今でも不利に働くことに変わりはありません。

そのために企業がやるべきことは、自社の事業性評価に関する情報を提供することになります。例えば、企業の強みや弱み、外部環境、業界の将来性等になります。

ただ「おたくの強みは何?」と聞かれても、抽象的で経営者も答えに困るでしょう。その場合はお客様が自社を選んでくれている理由は何かを考えてみましょう。そうすると高い技術力であるとか、丁寧に仕事をしてくれる等の理由が出てくるはずです。

弱みなんて話したくない経営者もいるでしょうが、弱みがない企業はありません。むしろそれを認識していて、それを解消するための今後の取り組みを説明した方が金融機関は評価します。

今後の成長可能性を評価してもらうためにも、自社の販売力や技術力の強み・弱み、経営者の資質、後継者の有無、市場動向、競合他社との比較、人材育成の取組等に関してまとめた資料を作成するといいでしょう。

それに加えて、今後5~10年の損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書と、それをどのように実現していくかの具体策をまとめた経営計画書を、自社が自主的に作成し提出しましょう。。これも自社の成長可能性を評価してもらうための重要な資料となります。

未だに決算書だけで評価するA銀行みたいな金融機関はあります(というかまだ多いでしょう)。しかし、これまでの融資姿勢を改め、積極的に中小企業を支援したいと前向きな金融機関も増えています。

自社の経営を見直すため、金融機関との関係を改善するためにもぜひ作成してみてください。

銀行や税理士事務所等で勤務した経験を活かし、経営者の右腕・参謀として資金繰りや経営改善、銀行取引についてご支援します。相談できるコンサルタントや専門家がいなければいつでも連絡してください。

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