金融機関から融資以外のセールス

金融機関からのセールス 未分類

日頃から金融機関との接触があると、いろいろなセールスを受けることがあります。

具体的なセールス内容

私が銀行員だった頃は、融資以外にセールスするものといったら定期預金、定期積金、給与振込、年金、クレジットカード程度でしたが、今は保険や投資信託、金融機関の経営者クラブ等、多岐にわたります。

定期預金・定期積金

大手銀行から定期預金や定期積金をセールスされることはあまりないとは思いますが、信用金庫(あるいは信用組合)では定期積金を求められることがよくあります。

超低金利で普通預金とほとんど金利は変わりませんから、やる意味はあまりないでしょう。しかし、納税資金を前もって積み立ておきたい等、何か目的があっての預金ならいいと思います。

注意したいのは、いざとなれば金融機関は借入金と相殺することができるということです。

ただ、融資を受けている金融機関に定期預金・積立預金をしても、返済を滞りなくしているのであればそう心配することはありませんが、そういう可能性もゼロではないということです。

よくあるのが、定期預金が正式な担保ではないのに、実質的な担保と見なされている場合です。無担保でプロパー融資を受けていると思っていたら、定期預金を実質的担保と見なしていることがありますから。

そういう定期預金は担保ではありませんから解約はできますが、「今後の融資に影響が出ます」等と言って解約をさせないようにしてくることがあります。

したがって、特に定期預金をするのであれば、融資取引のない金融機関でしましょう。

保険や投資信託

金融機関は資金を貸して得られる利息だけではなく、手数料収入に力を入れていますから、一部の金融機関を除き金融商品のセールスにも力を入れています。

投資に関心があり、勧められた商品が偶然にも納得できるものならいいしょう。しかし、預金とは違い元本は保証されていません。内容を確認するのは当然ですし、他の証券会社や保険会社にも相談する、あるいは他商品を比較するぐらいのことはしましょう。預金とは違いリスクがあるのですから慎重にするべきです。

それに金融機関が提案してくるのは、顧客のためというより自分たちの手数料収入が目的ですから、なおさらよく考えて判断してください。何でしたら「そんなにいい商品ならあなたも買ったの?」と聞いてみてもいいと思います。

これらのセールスについては、無理してまで付き合う必要はありません。

クレジットカード

私もVISAやJCBを昔セールスした記憶があります。すでにクレジットカードなんて持っている人が大半なのでセールスされても迷惑ですが、ゴールドカードでなければ年会費もそう負担にはならないので、何かお付き合いをしなければとお考えなら、これが一番付き合いやすいかもしれません。

ただし、クレジットカードは申し込む時、個人信用情報を記入しなければなりません。これまでの利用で支払遅延などがあるなら、あまり問題にならないよう気を付けてください。

その他

他にも例えば、経営者クラブなんてものもあります。年間3万程度で経営情報誌の配布、交流会、セミナー等に参加できます。

当社顧問先の一部が会員にはなっていますが、利用している様子はありません。毎月送られてくる情報誌は封筒に入ったままですし。

経営のことをもっと学びたい、近隣の経営者と交流を深めたい等の目的があるのならいいでしょう。

融資への影響はあるか

どうしても中小企業の経営者は、融資をしてもらっている下の立場と考えてしまっているので、セールスされると応じなければと考えがちです。しかし、気にする必要はありません。

メリットはほとんどない

お願いされてお付き合いしても、出ない融資が承認されることはありません。

メリットがあるとすれば、せいぜいたくさんの案件を抱えている担当者が、他社よりも優先して稟議書を書いてくれる程度のことです。その担当者だって異動してしまえばお付き合いした意味を失います。

したがって、セールスされたものが自分(自社)に必要であれば、お付き合いすればいいだけです。今後の融資に関するメリットはありません。

こちらから関心のあるものを伝えてもいいでしょう。

融資の条件にする金融機関もある

では断ったら融資に影響が出るでしょうか。それは通常ありません。

しかし、「通常」と書いたのは、現実にはセールスの受け入れを条件にした融資は、禁止されているといっても実在するからです。

例えば、千葉県のとある企業は、地元の銀行から融資を出す条件として、保険加入を求められました。

どうしても資金が欲しかった経営者は、それで融資が出るならとその条件を受け入れ約束通り実行されました。

しかし、毎月の保険料は極めて厳しい資金繰りの中では安いものではありませんでした。そのため、しばらくして解約をしました。

その後、融資の相談に行ったところ、保険を解約したことを理由に融資を拒否されたのです。

預金や金融商品の購入等を条件に融資をするのは、優越的地位の濫用に該当します。金融機関はそれをしてはいけないので、昔よりも強引なことは明らかに減ってはいるものの、まだ残っているのも事実です。

そんな金融機関と付き合わなくてもいいよう、複数行と付き合っていくしかありません。

まとめ

金融機関から預金等のセールスを受けても無理に付き合う必要はありませんし、必要なものだけお付き合いすればいいです。

今後の融資に影響はありません。もしプラスの影響があったとしても、担当者が異動してしまえばそれも無駄になります。

ただ、ごく一部に融資の条件にしてくる担当者がいるかもしれませんが、そんな金融機関とは付き合わないように複数行と付き合うようにしましょう。