リスケの前に借換え

資金繰り予定表 銀行融資

リスケの前に借換え

多くの中小企業が日本政策金融公庫や民間金融機関から新型コロナ融資を利用しました。そして、公庫、民間金融機関どちらも据置期間は1年以内が半数を超え、すでに返済が始まった、あるいはそろそろ始まる頃でしょう。

しかし、陽性者数がやっと落ち着いてきたけど、売上は回復し始めただけで、正常返済が可能なほど資金繰りは改善されていなかもしれません。「こんなに借入金が増えてしまったが、本当に返済できるだろうか」と悩んでいる経営者も少なくないと思います。

1,リスケジュールよりも借換え

返済するだけの資金的余裕がない企業で、追加融資を受けようとしてもあまりいい返事がもらえないと考えられる場合、借換えとリスケジュールを検討しましょう。

リスケジュール(リスケ、返済条件の変更)をしてもらうと、毎月の返済が軽減されるメリットはありますが、当初の約束通りに返済ができなくなったのですから、今後の新規融資が絶対無理ではないけどかなり難しくなります。

これから業績が回復する方向にあれば前向きな資金使途で融資を受けたい場面が出てくるでしょうし、第6波がやってくるとしたら万一に備えて融資を受けられるようにしておきたいでしょう。昨年のコロナ感染が拡大した頃、当社顧問先はリスケ中でも融資は出ましたけど、第6波でもそうなるとは限りませんから、リスケはできれば避けたいと経営者なら思うはずです。

金融機関も融資先のリスケはできれば避けたいと考えます。融資先から経営改善計画書を提出してもらい、その内容について経営者から説明を受け、条件変更に関する稟議書を作成し承認を得なければなりませんから。

したがって、まずは借換えを相談してください。

借換えは例えば次のようになります。

3,000万円を5年で借入している企業があったとしましょう。年間600万円、毎月にしたら50万円返済です。2年経過すると1,200万円返済し残高は1,800万円です。このまま返済を続ければ毎月の返済額は当然50万円のままです。

そこで新たに1,800万円の融資を受け、かつ既存借入金を一括返済します。返済期間を5年だとすれば年間360万円、毎月30万円です。借換えをすることで毎月の返済額は50万円から30万円に軽減されるのです。さらに据置期間が認められれば資金繰りはより楽になります。リスケジュールのような効果はありますが、これは前の融資を完済して、新しい融資を受けていますから条件変更とは異なります。したがって、今後の融資が業績悪化等の理由によって出ないことはあるかもしれませんが、リスケを理由にして断られることはありません。

2,借換えを相談してみましょう

昨年7月に3,000万円、返済期間は6年(据置期間は1年)を借り入れたとしましょう。すると今年7月から返済がスタート、毎月の返済額は50万円だから、7月から10月までの4カ月間で合計200万円返済しています。つまり10月末で残高は2,800万円です。

これを同額で据置期間を設けた借換えができないか相談してみましょう。できれば返済分を上乗せした3,000万円を希望していることも伝えてください。

リスケよりも借換えのほうが相談はしやすいはずです。大幅に経営が悪化していない限り、金融機関も借換えについては前向きな対応をしてくれると思います。

担当者と親しい間柄なら、据置期間は無理でも増額借換えなら提案してくることはよくあります。もしそのような担当者がいないとしても、融資の窓口で話をしてみましょう。

借換えが無理との回答ならリスケで資金繰りを立て直します。

現時点では公庫のコロナ融資は年末までの予定

中小企業がよく利用する日本政策金融公庫(公庫)では、「新型コロナウイルス症特別貸付」を取り扱っていますが、申請期限は今のところ今年12月末までになっています。

まだ完全に収束したわけではありませんから、この特別貸付は延長される可能性も残されているとは思います。あるいは年末までとしても、来年からは新しい支援制度が創設されるかもしれません。

ただ、12月に入ってから「12月末まで」と決まったとしましょう。そこから資金調達に動き始めても、ただでさえ12月は融資申込みで混みあいますから、審査が待たされることもあります。

それを避けるため11月中には動いた方がいいでしょう。資金繰り管理のことを考えれば、今すぐでもいいぐらいです。何でも早めに行動するようにしてください。