先日、新しい顧問先様の経営改善を支援するため、経営改善計画策定支援事業(通称405事業)の利用申請をし、今日承認されました。この経営改善計画策定支援事業は、金融機関からは返済額見直しなどの金融支援を受け、専門家の力を借りながら経営改善を進める中小企業を支援するもので、専門家に支払う費用の3分の2を国が負担してくれます。
これから経営改善をお手伝いする会社さんは、当社に相談して下さったのも早く、資金繰りで大きな悩みはあるけど、そこをしっかり管理すれば再生できる可能性は高い企業でした。
経営悪化の兆候を見逃さないで
ただ、早めに相談して下さるケースは稀です。多くは「もう打つ手が無くなったので何とか助けてください」というご連絡がほとんど。
やっぱり、経営が悪化している、資金繰りが苦しい(お金がない)、取引銀行から見捨てられた、とった内容は他人には相談しづらいので、経営者だけで何とかしようとする。しかし、決算書を粉飾して銀行に良く見せようとしたり、少しでも売上を伸ばそうと他社よりも低価格で勝負したりするだけで、何の解決策にもなっていないのです。というか間違った改善策を実行しているのです。
大震災等の特殊なケースを除いて、順調だった経営が一気に倒産ということはまず無く、徐々に向かうはずです。
売上や利益が徐々に減ってきた、借入残高が増えてきた、現預金残高が減ってきた等の兆候が数字に表れていたはずです。
そのような兆候を見逃してはいけません。「まだ何とかなるだろう」と問題解決を先送りしていると、正常な状態に戻すのに苦労することになります。だから後で大きな苦労をするよりも、軽い経営悪化の状態から経営改善を進めましょう。
顧問税理士が指摘してくれるとは限らない
税務申告を税理士に委任している中小企業は多いでしょう。しかし、経営や資金繰りに関する問題を指摘してくれたり、改善をサポートしてくれたりするとは限りません。高い顧問料を支払って、税務だけでなく経営の相談にも乗ってもらう契約なのに、それをやってくれない税理士がいます。税務以外に詳しくない税理士もいます。しかし、税理士が悪いとも限りません。経営者に問題がある場合もあります。例えば、異常に安い顧問料で税理士を使っている場合です。それでは記帳代行や申告以外に対応しようとは思わないでしょう。
企業の成長に必要な経営者の右腕
金融庁が平成28年6月27日に公表した「抜本的な事業再生への課題について」の中に参考となる調査結果があります。
業績不振企業がメインバンクに相談したかという質問に対し、再生企業は相談しなかったが7%しかありませんでしたが、清算企業は25%もありました。
200社にも満たない企業からの調査ですが、初期の段階からの相談も再生企業は多いことがわかります。
この質問ではメインバンクとなっていますが、専門家に置き換えて考えてみてください。経営者の右腕となる専門家がいて、すぐに相談できる経営体制が業績不振からの再生には必要なのです。
ぜひ、皆さんもそんな良き相談相手を確保し、1人で悩まないようにしてください。