当社は自宅の一部を事務所として使っているのですが、一時期、渋谷で事務所を借りてみたことがあります。しかし、結局は解約しました。
というのも、お客様に来ていただくことが全くなく、こちらから伺って仕事をすることが100%なのです。事務所を借りる余裕は少しありましたが、家賃が無駄になってしまうから、すぐに撤退したのでした。
経営者は見栄っ張りな方が多いので、せっかく事務所や店舗を持つのだからと、立派なものにしてしまう人は結構多いですね。
起業してまだこれからという時に、店舗はある程度仕方がないとしても、立派な事務所を持ってしまうのは、やはり負担が大きくリスクが高いといえます。
事業が軌道に乗ってきて従業員も増えてきて手狭になったからと、そして今後も成長すると見込んで、やや立派な事務所を借りたがるのです。確かにその増えた家賃負担をカバーするだけ売上高が増加する企業もあるけど、私の知っている範囲で言うと、増加した固定費が足かせになって業績が悪化した企業が多いです。
ちょっと極端な例ですが、以前お付き合いした顧問先は台東区にありました。しかし、見た目が大切だからと私の反対を無視して、今までの家賃の5倍もする中央区に移転した会社がありました。3か月後に夜逃げしました。
立派な事務所を持っても、固定費はかかるし、お客のためにもならないし、見栄っ張りな社長が満足するのと、人材募集の時には役立つぐらいでしょうか。
飲食店のような店舗でしたら、お客様の満足度をアップさせるのに貢献はするでしょうから、お金をかけるのは多少仕方ないけど、最初にお金をかけすぎる人がとても多い。
もっと身軽に始めて儲かるようになってから、徐々に内装や設備等を立派にしていくのが良いと思います。
まずは、立派な店舗・オフィスを借りる前に、家賃をカバーするのに一体いくらの売上が必要か、いくつ商品を売らなければならないのか、よく考えてみて欲しいのです。
損益計算書にある経費で大きいものは、ほとんどの企業が人件費と地代家賃ではないでしょうか。
人件費は確かに経費ですけど、社員が頑張ってくれればそれ以上の売上を計上し利益を生み出してくれるでしょうが、事務所は特に利益を生み出しませんから注意しましょう。
うちのお客様の話なのですが、お客様から「立派な事務所を借りる余裕があるのなら、もう少し値引きしてよ」と言われたそうです。
私の知り合いの税理士は、事務所ではないのですが、ちょっと立派な車に乗って顧問先に行ったそうです。そうしたら、やはり同じように「余裕があるのなら顧問料下げてよ」と言われてしまったとのことでした。
話しは変わりますが、私が取締役になっている企業が上場を目指そうとした時がありまして、その時に知り合った公認会計士は、逆に高級車に乗っていると言っていました。
というのも、顧問先がこれから会社を上場させて、たくさんのお金を手に入れようという時に、安い車では駄目だそうです。
自分もいつか高級車に乗るんだというモチベーションを維持させるためにも、そしてお金に余裕のある公認会計士の方が仕事の依頼もあるということで、高級車に乗らないといけないという事でした。