信用保証協会のデメリット

金融機関の立場としては、中小企業(特に小規模企業)への融資は自行のリスクを回避するためにも、信用保証協会の利用を求めることが多いと思います。

信用保証協会のメリット

信用保証協会(以下、保証協会)の利用は大きなメリットがあります。

例えば、創業時や小規模事業者は経営基盤が不安定で信用力が低いですから、金融機関は慎重姿勢になり資金調達で苦労することになります。しかし、保証協会が保証を出すことで信用力を補完してもらえますから、金融機関は低リスクで融資を実行できます。

また、業績悪化によりリスケジュールをする場合も、保証協会を利用していると全金融機関の同意を得やすいでしょう。

したがって、保証協会は中小企業の資金繰り安定には不可欠な公的機関です。今はすべてプロパー融資で資金調達できているとしても、業績悪化によってそれが困難になったとき保証協会の支援を受けることができるメリットは大きいでしょう。

信用保証協会のデメリット

中小企業にとって頼りになる保証協会ですがデメリットもあります。保証協会に問題があるというより、過度な依存は次のデメリットがあるのです。

①保証料の発生

まずは保証料の負担です。そのおかげでスムーズに資金調達できるとはいえ、やはり負担は少なくありません。

例えば、融資希望金額3,000万円、期間5年(60ヶ月)、保証料率1%で計算すると、融資実行時に徴収される保証料は825,000円と計算されます(詳細は信用保証協会に問い合わせてください)。

ちなみに千葉県信用保証協会ホームページ「保証料計算シミュレーション」で計算しました。

②保証協会が企業の命運を握ることに

すべて保証協会付き融資であったとしたら、複数の金融機関と付き合っていても保証協会の保証審査の影響を受けることになります。保証協会が企業の命運を握っていることになるのです。保証協会に睨まれたら今後の資金繰りへの影響は極めて大きいということです。

これまで保証協会付き融資のみの対応をしていた金融機関が、保証協会が保証を謝絶した時にリスクを犯してまでプロパー融資で対応してくれるかといえば、その可能性は低いと言わざるを得ません。

③保証限度額が限られている

保証協会の利用には限度額があります。一般的な保証限度額は1企業2億8,000万円、うち無担保で利用できる無担保保証枠8,000万円、有担保を前提とする普通保証枠2億円です。この限度額は各企業によって異なりますが、小規模企業なら保証枠内で十分かもしれません。

しかし、中堅企業で担保になるようなものがない場合、保証枠だけでは不十分になります。

④経営者が経営改善意欲を失う懸念

一番のデメリットはこれだと思います。経営者が「保証協会は中小企業を支援する公的保証機関なのだから、積極的に保証を行うだろうし、金融機関も融資を出してくれるはずだ」と考え、経営改善の意欲を失うことが懸念されます。

金融機関がプロパー融資を避ける赤字等財務内容が悪化したとしても、保証協会は保証を出してくれることが多いです。それは公的な立場としてリスクを負ってでも中小企業を支援するからです。

しかし、資金調達はできるのだから今の経営で問題ないと思い込んでいるのです。

金融機関は、保証協会が保証を出せば融資をしやすいでしょう。企業の経営に問題があったとしても、少なくとも80%(一部保証制度は100%)は回収できるわけですから、金融機関はあまり経営に厳しいことは言ってこないことが多いのです。

金融機関がプロパー融資を出す経営を目指す

保証協会の利用がいけないわけではありません。過度な依存は避けましょうということです。そのためには、プロパー融資を目指す経営を意識することです。政府系金融機関とも付き合う必要もあるでしょう。

プロパー融資が受けられれば資金調達に必要な保証料を減らすことができますし、保証協会に自社の命運を握られないようにもできます。

それに保証枠を温存する事ができますから、プロパー融資が難しい経営状況に陥っても資金調達の可能性は高いといえます

金融機関の信用を獲得してプロパー融資を受けるには、自社の経営を良くしていくことが必要ですから。経営者はそれを考え実行するようになります。

だからこそプロパー融資を目指してほしいのです。

それに、そもそも保証協会に依存した融資しか実行してくれないというのは、金融機関が企業を信用していない、本気で付き合ってくれていないということでもあるのです。

「うちの財務内容はまあまあいいと思うのだけど」と思っている経営者さん、ぜひ自社の経営のためにも保証協会の依存から脱却してみませんか。

銀行や税理士事務所等で勤務した経験を活かし、経営者の右腕・参謀として資金繰りや経営改善、銀行取引についてご支援します。相談できるコンサルタントや専門家がいなければいつでも連絡してください。

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