「少しでも金利が低い金融機関から借りたい」
経営者として、支払利息という「コスト」を抑えたいと考えるのは当然です。しかし、財務のプロの視点から言わせていただければ、金利の低さばかりを追い求めるのは、時として経営を危険にさらす「諸刃の剣」となります。
中小企業の経営において、金利よりも遥かに優先順位が高いもの。それは「必要な時に、確実にお金を借りられる金融機関との関係性」です。
低金利の金融機関は「雨が降れば傘を貸さない」可能性が高い
金融機関から低金利を今のところ提示されていたとしても、あくまで「現在のあなたの会社の業績が良いから」提示されているものです。
金融機関が金利を極限まで叩いて融資先を選定していると、いざ業績が悪化したり、社会情勢が不安定になったりした際、真っ先に融資姿勢を厳しくします。低金利で貸し出す金融機関は、リスクを極限まで排除するビジネスモデルだからです。
いわゆる「雨が降っている時に傘を貸さない(あるいは奪う)」リスクが最も高いのは、平時に最も低い金利を提示してくる金融機関であることを忘れてはいけません。
0.数パーセントの金利は「保険料」と考える
例えば、A金融機関が0.5%、B金融機関が1.0%の金利を提示したとします。その差は0.5%。1億円の借入であれば、年間の利息差は50万円です。
この50万円を「無駄なコスト」と見るか、「いざという時のための保険料」と見るかで、会社の生存率は大きく変わります。
多少金利が高くても、日頃から担当者がこまめに足を運び、自社の事業内容を深く理解してくれている金融機関であれば、赤字転落や資金ショートの危機に直面した際、本部に対して必死に融資を継続するよう交渉してくれることが多いです。この「有事の際の伴走」こそが、中小企業にとっての真のセーフティネットなのです。
金融機関も「商売」であるという視点
金融機関も利益を出していかなければなりません。利ざや(金利)が極端に薄い取引先に対しては、金融機関側も「優良顧客」としての優先順位を下げざるを得ません。
逆に、金融機関側もしっかりと収益が得られる金利で取引をしていれば、彼らにとってあなたの会社は「守るべき大切な顧客」になります。 「うちはいつも高い金利を払っているんだから、こういう時こそ助けてくれよ」 という正当な主張ができる関係性を作っておくことが、経営者の守るべき「守備範囲」ではないでしょうか。
資金繰りが止まれば、会社は終わる
支払利息が若干増えても、会社が潰れることは稀です。しかし、たった一度でも資金繰りが止まれば、会社は倒産します。
損益計算書(P/L)上の利息を削ることも大事ですが、それ以上に経営者が注力すべきはキャッシュフローをいかに安定させるかです。「金利が安いから」という理由だけでメインバンクを頻繁に変えたり、無理な金利交渉を繰り返したりすることは、自ら命綱を細くしているのと同じです。
中小企業支援に熱心な広島市信用組合
ブルームバーグで広島市信用組合について書かれた記事がありました。
「ドブ板営業でマイナス金利なんのその、預貸一筋で最高益の広島市信組」
広島市信用組合が2018年度に過去最高益を達成したとの内容です。
広島市信用組合は金融機関に詳しい人の間では有名でしょう。投資信託や生命保険は販売せず、地元で集めたお金は地元のために融資をすることを徹底しています。お金の地産地消、これが地域金融機関に求められていることです。高知県のどこかの信用金庫とは大違いですね。
この記事の中に山本理事長の発言が書かれています。
「赤字、繰り欠、債務超過でも、社長が一生懸命やっているか、企業に成長性があるか、技術力があるか、それを見抜くために毎日歩けよ、融資のプロになれと言っている」
信用組合が付き合っている中小企業や個人事業主というのは、(失礼ながら)財務面ではいろいろ問題のある先が多いでしょう。しかし、中小企業では技術力等の強みを持っていることも多いですし、経営者が本気になって経営改善に取り組むと優良企業になることも多いのです。
そこでミドルリスクの先で通常なら融資を受けづらい企業であっても、直ちに断るようなことはせず事業継続性や成長性をしっかり見て判断しています。そのかわり、やや金利は高いけど、稟議が上がってから3日以内に決済しています。そんな理由で地元企業からは頼りにされているのです。
みなさんもこのような融資姿勢で対応してくれる金融機関とお付き合いしていきましょう。
まとめ:賢い経営者の選択
金利が低いことは、確かに経営者なら必要なことだし魅力的です。しかし、本当に強い会社は、金利の安さだけで金融機関を選びません。
- 自社のビジネスモデルを理解しているか?
- 不況時でも相談に乗ってくれる姿勢があるか?
- プロパー融資(保証協会を通さない融資)の提案をしてくれるか?
こうした「信頼の深さ」を評価軸に加え、多少の金利差には目をつぶってでも、強固なリレーションシップを築くこと。それが、結果として10年、20年と続く安定経営の基盤となります。
目先の「金利」に惑わされず、会社を守るための「調達力」を手に入れてください。
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