他都道府県の信用保証協会を利用できるか

金融機関からのセールス 銀行融資

信用保証協会は、中小企業や個人事業主が金融機関から資金調達する際、保証人になってくれる公的機関で各都道府県にあります。信用力が大企業と比べて劣る中小企業は、資金調達で利用することが多いでしょう。

原則は本店所在地の信用保証協会

全国に信用保証協会があるといっても、どこでも利用できるわけではありません。原則は本店所在地の信用保証協会です。当社なら千葉県信用保証協会です。

本店以外で利用可能

他都道府県にも営業所や工場などがある場合、そこの信用保証協会が使えるのだろうかという疑問を持たれるかもしれません。何となく本社所在地でしか利用できないイメージがありますけど可能です。本社以外の都道府県に営業所や工場を有する場合、そこの信用保証協会での保証対象となります。事業実態があれば可能であり、本社であるかは問いません。

銀行員の頃、本社は千葉県、工場が東京都という融資先がありました。社長が普段は工場にいることが多いので東京の信用保証協会を利用できないかとの相談があり、そこから2つの信用保証協会を利用するようになりました。

私が取締役をしている山形県天童市の顧問先は、山形県よりも東京都のほうが圧倒的に保証残高は多いです。徐々に東京での仕事が増えたことが理由です。

複数と付き合っても保証枠は増えない

付き合う信用保証協会が増えたからといって、保証限度枠が増えるわけではありません。無担保保証枠は原則、1法人に対して8,000万円が限度となります。

申告納税があれば

営業所や工場などでもその場所にある信用保証協会は利用できます。小規模でも商売をしている実態があることを証明できれば可能です。

それを証明するには、支店登記したほうがいいでしょうし説得力があります。しかし、必要要件ではありません。事業をしている実態があり、地方税の申告と納税を行っていれば申し込みは可能です。

なお、本店は単なる登記上の所在地でしかなく、事業実態は別のあるような場合は、本店所在地を所管する信用保証協会は利用できないので注意しましょう。

本社を移転すれば保証は出るか?

信用保証協会に関係した質問であるのが、本社を移転すれば移転先の信用保証協会から保証が受けられるかというものです。

例えば、「東京信用保証協会からしばらくは保証が出せないと言われてしまった。しかし、何とか保証を受け資金調達したいので、千葉県か埼玉県に移転し、移転先にある信用保証協会から保証が受けられるか」という内容です。

資金繰りに悩んで新しい金融機関を訪問して、まずは保証協会付きを条件にされてしまうことが多いですから、裏技のようなことができないか考えるのも無理はないでしょう。

確かに移転先にある信用保証協会に申し込むことは可能です。しかし、これは実行しないほうがいいでしょう。なぜなら、東京信用保証協会が否決したものを、他の信用保証協会が保証を出す可能性は低いからです。移転や登記手続きに手間と費用をかけたけど、保証が出ず資金調達できない結果になる可能性が非常に高いです。

信用保証協会で対応に若干差がある

信用保証協会ごとに、審査の難易度や時間に若干の差があります。

先ほど出た山形県天童市の企業は、山形県と東京都の信用保証協会を利用していますが、東京のほうが申込みから保証が出るまでスムーズな気がします。

また、地元の金融機関から申し込んだほうがいいです。例えば、栃木県なら栃木銀行や足利銀行からです。他県に本店がり栃木県に支店のある金融機関でも原則申し込みはできるけども、対応に差が出る場合があります。

信用保証協会も地元金融機関のほうが保証件数や金額が大きいですから、他県に本店のある金融機関に差が出てくることを何度か経験しています。

まとめ

企業は本店所在地にある信用保証協会を利用するのが原則とお考えでしょうが。営業所や工場などがあればそこにある信用保証協会の利用が可能です。現在利用している信用保証協会の保証審査や時間に不満があるのなら、他の利用を検討してもいいでしょう。

また、複数の信用保証協会を利用しても保証枠が増えるわけではありませんし、保証を断られたから他に行くのは可能ですが、過度な期待はしないほうがいいでしょう。