銀行と企業の関係は男女の関係と一緒

銀行融資

私は銀行と企業の関係は男女の関係と一緒で、企業が男性で銀行が女性だと思っています。

男性が女性を見て、いくらタイプだからといっていきなり「結婚してください」とか「男女の関係になりましょう」とは言わないはずです。お互いの気が合っていきなりそうなる場合もあるでしょうが、それは極めて稀な事でしょう。

そのような事を言ったとしても、よほどお互いの気が合う場合を除いてまず良い結果は得られないでしょうし、むしろ関係は悪化するはずです。

取引をしたことがない銀行に行っていきなり「貸してください」というのはこれと同じようなものなのです。

タイプの女性がいてお付き合いをしたいと思ったら、すでに職場や学校が一緒でお互い知っているのなら、食事や共通の趣味を楽しむために出かけようと誘うでしょうし、まだ全くお互いをよく知らないのであれば、共通の友達と一緒に出かけたりして、徐々に二人で行動するようになるでしょう。

そして、相手の事(性格、仕事、収入等)をよく理解してから結婚を前提とした交際に入り、問題がなければ結婚となると思います。

銀行との融資取引も一緒です。

皆さんの会社の事を全く知らないのに、いきなり融資の窓口に行って「貸してください」と言ったら、銀行は「いろんなところで断れてうちに来たのだろうか」「資金繰りに相当困っているのだろう」「融資して大丈夫なのだろうか」と警戒する事があります。

だから、まずは預金口座を開設したり、決算書や試算表等を積極的に提供したりしてお付き合いが始まり、毎月入金・出金がいくらぐらいあるか、どういうところと取引しているか、どんな事業を行っているか、財務内容はどうなっているか等、自社の良いところを詳しく知ってもらい、この会社なら安心して融資をしてもいいだろうとなってから融資取引が始まる、それが理想的です。

最近は銀行側も融資先獲得に困っていますから、実際には積極的姿勢が多いですし、これまで述べたようなことまでする必要もないと思います。しかし、企業側からしたら銀行側に自社の魅力ある所を見せて、こちらから「貸してください」とお願いするよりも、相手から「借りてください」と言わせることができれば有利な条件を勝ち取りやすいといえます。だから先ほど説明したような理想的なお付き合いをする方がいいのです。

ただ、そうはいっても、資金繰りの関係から融資をすぐに申し込まなければならない場合もあります。

銀行がまだ企業の事をよく理解できず、融資をしてもいいのかどうか判断ができない場合、そんなお互いの間を取り持つのが信用保証協会です。

信用保証協会が銀行(女性)の代わりに企業(男性)の事を調査して、「この企業(男性)は私たちが問題ないと保証しますよ」と銀行に伝えるのですから、銀行は安心して融資をすることができます。

信用保証協会を使えば融資で良い結果は出やすいでしょうが、信用保証協会に頼らなくても、融資(結婚)という結果を得られるような魅力ある企業(男性)になる必要があります。

そして、融資取引を継続する事は結婚生活と一緒です。

(やや古い夫婦関係かもしれませんが)毎日仕事が終わったら寄り道せず家に帰って今日一日の事をお互い話し合い、給料日は妻にちゃんとお金を渡し、浮気等の隠し事をせず、妻に愛情を注げば、妻も夫に尽くしてくれるはずです(家庭によって違うかもしれませんが)。

企業と銀行の関係も同じです。融資を申し込む時だけでなく、その後も毎月とか定期的に会って経営の事を隠さず報告し、粉飾決算等で銀行を騙したりせず、銀行を経営のよきパートナーとしての付き合いをしていくといいですね。そういう付き合いをしていけば、(できないこともありますが)できる限りの支援をしてくれるようになるのです。